乾物なのに、なぜ冷凍なのか。
当店の商品ページをご覧になったお客様から、ときどきいただくご質問です。煮干しも節も乾物ですから、常温で置けます。実際、常温で保管されている問屋さんも多くあります。
それでも当店は、出荷の直前まで冷凍で保管しています。この記事では、その理由をご説明します。だしの質を保つとはどういうことか、乾物を扱う者として考えていることを書きます。
乾物は、傷まないが、味は変わる
乾物の良いところは、日持ちすることです。水分を抜いてありますので、腐りません。だから常温で置けます。
ですが、傷まないことと、味が変わらないことは別です。
煮干しも節も、時間とともに酸化が進みます。酸化するのは、魚の脂です。脂が酸化すると、香りが抜け、味が変わります。いわゆる油焼けです。
見た目はほとんど変わりません。袋を開けたときの香りで、はじめて分かります。開けたときに「あれ」と思ったら、もう遅いのです。
温度が高いほど、酸化は早く進む
酸化は、温度が高いほど早く進みます。
夏場の倉庫は、外より暑くなります。そこに何か月も置かれた煮干しと、冷凍庫に入っていた煮干しでは、同じ日に作られたものでも中身が違ってきます。
当店では、営業冷蔵庫で-25℃以下、出荷の直前まで-15℃で保管しています。常温で保管されているものに比べて、香りの抜けがありません。
これはコストのかかる方法です。冷蔵庫の電気代がかかります。荷物の出し入れにも手間がかかります。それでも続けているのは、この差がお客様の作られるだしに出るからです。
油分の少ない煮干しを選んでいます
保管の前に、そもそもの仕入れの話をさせてください。
当店は、プロの飲食店様向けに、見た目よりも味を重んじ、油分の少ない上質な煮干しを中心に取り扱っています。
油分が少ない煮干しを選ぶのには、二つの理由があります。ひとつは、だしが澄むこと。もうひとつは、酸化しにくいことです。
脂の多い魚で作った煮干しは、はじめは濃い味が出ますが、酸化が早く進みます。時間が経つと油臭くなります。姿が良くても、油臭くてまずい煮干しはたくさんあります。
ここが煮干しの難しいところで、煮干しは見た目だけでは味が判断できません。写真では分かりません。産地と等級を見ても分かりません。開けて、嗅いで、だしを引いてみるまで分かりません。
店長が自分で確かめてから仕入れています
ですから当店では、取り扱うすべての商品について、店長が実際にサンプルを取り寄せ、香りと味を自分で確かめてから仕入れています。
産地の名前や等級の表示だけで仕入れることはしません。同じ産地の同じ等級でも、年によって、船によって、中身は変わります。実物を確かめなければ分かりません。
手間のかかるやり方です。ですが、卸である以上、これはやらなければならない仕事だと考えています。お客様は当店の商品を信じて、お店の味を作られるのですから。
酸化防止剤を使わないという選択
当店で扱っている煮干しの多くには、酸化防止剤を使用しておりません。
酸化防止剤を使えば、常温でも長く保たせられます。それも一つの方法です。ですが当店は、添加物に頼らず、温度で守るやり方を選びました。
お客様の中には、原材料欄をご覧になって、余計なものが入っていないことを確かめてから仕入れられる方がいらっしゃいます。給食施設や介護施設のお客様は特にそうです。そういうお客様に、はっきりお答えできる商品を揃えておきたいのです。
なお、商品によっては添加物を使っているものもあります。たとえばしじみ粉末は、アミノ酸調味料および酸化防止剤(ビタミンE)を使用しています。その場合は、商品ページの目立つところにはっきり書いています。無添加をお求めのお客様が、間違えて買われることのないようにするためです。
お手元に届いてからの保管
ここまでは当店の話です。ここからは、お客様のお手元に届いてからの話をさせてください。
当店がどれだけ気をつけて保管しても、届いたあとの置き方で味は変わります。
当店の規格表には、こう書いています。乾物ですが、美味しさを保つ為に当社では冷蔵を推奨します。(冷凍がベストです)
賞味期限は、煮干し・節・干しエビ・干し貝柱が冷蔵で半年、昆布が冷暗所で半年です。粉末は酸化が早いため、冷蔵で半年としています。
| 商品 | 当店の推奨 | 賞味期限 |
|---|---|---|
| 煮干し・節 | 冷蔵。冷凍がいちばん | 冷蔵で半年 |
| 粉末・パウダー | 冷蔵。開封後は密閉して | 冷蔵で半年 |
| 昆布 | 冷暗所 | 冷暗所で半年 |
| 干しエビ・干し貝柱 | 冷蔵。冷凍がいちばん | 冷蔵で半年 |
常温でも置けますが、それは「腐らない」という意味です。「味が変わらない」という意味ではありません。冷蔵庫に空きがありましたら、乾物も入れてあげてください。
粉は特に早く酸化します
粉末やパウダーは、姿のままのものより酸化が早く進みます。表面積が大きいためです。
だしが早く出るという長所と、酸化が早いという短所は、同じ理由から来ています。表面が空気に触れる面積が大きいのです。
開封後は、袋の口をしっかり閉じて、冷蔵か冷凍で保管してください。一度に使い切れない量をお求めになる場合は、小分けにされることをおすすめします。
当店では1kg入りのほか、1kg×5袋、1kg×10袋といったまとめ買いもご用意しています。一袋ずつ開けていただければ、開封後の酸化を最小限にできます。
先に入れたものから先に使う
業務用でお使いのお客様には、もうひとつお伝えしたいことがあります。
入荷した順に使っていく。当たり前のようですが、忙しい厨房では、手前にある新しいものから取ってしまいがちです。奥に古いものが残り、忘れられます。
置き場所を決めて、新しいものは奥へ、古いものは手前へ。それだけで、賞味期限を過ぎるものが減ります。当店の商品は賞味期限が冷蔵で半年ですので、半年で一巡する量を目安に発注していただくと無駄がありません。
当店では、必要なときに必要なだけお届けできるよう心がけています。平日13時までのご注文で即日発送しています。大量に抱えていただかなくても、必要なときに届く。そういう体制にしているのは、お客様に古いものを使っていただきたくないからです。
容量の選び方
当店では、多くの商品を1kgからお出ししています。
大きな箱で買っていただいたほうが、1kgあたりは安くなります。ですが、使い切れない量を抱えていただくのは本意ではありません。
小さなお店で、少しずつお使いになるのでしたら1kg。毎日たくさん使われるのでしたら5kg、10kg。お店の使い方に合った量をお選びください。容量が大きいほどkg単価はお得になりますので、使い切れる量の中で、いちばん大きいものを選んでいただくのがよいと思います。
送料を商品価格に上乗せしていません
保管の話から少し離れますが、当店の考え方としてもうひとつ。
当店は、送料は明確にお示しし、商品価格への上乗せは一切いたしておりません。送料込みに見せかけて商品価格を上げる、ということをしていません。
まとめてご注文いただければ送料の負担は下がります。ですが、そのために使い切れない量をお勧めすることはしません。必要なときに必要なだけ、というのが当店の考え方です。
だしの質は、届くまでの間に決まっています
お客様が厨房でだしを引かれるとき、その味はすでに決まっています。
どの魚が使われたか。どう作られたか。そして、どう保管されて届いたか。厨房でできるのは、その素材の持っているものを引き出すことだけです。
だからこそ、届くまでの間を預かる当店の責任は重いと考えています。実物を確かめて仕入れ、冷凍で保管し、必要なときにお届けする。地味な仕事ですが、これが卸の仕事だと思っています。
商品の一覧はだし・ラーメンスープ用食材と魚粉・煮干し粉・パウダーからご覧いただけます。
ご不明な点がありましたら、商品ページの規格表をご覧ください。産地、加工地、原材料、賞味期限、保管方法、当店での商品管理まで、すべて書いています。





