煮干しには、商品名にない呼び方があります
当店の商品名は「煮干しいわし(長崎)」「煮干しいわし(瀬戸内)」のように、魚と産地で付けています。ところが業界では、それとは別の言い方をします。「背黒」と「白タレ」です。
はじめて聞かれる方も多いと思いますので、書いておきます。
背黒(せぐろ)
背が青々として、身がかっちりしたカタクチイワシの煮干しです。
手に取ると硬く、姿が締まっています。見た目に力強さがあります。「背黒」と呼ばれるのは、そのまま背中の色から来ています。
白タレ
見た目が白く、皮が弱い感じのカタクチイワシの煮干しです。
背黒の対になる言葉です。全体に白っぽく、手触りも柔らかく感じられます。
産地で決まるものではありません。 長崎のものにも、牛深のものにも白タレはあります。特定の産地だけの話ではない、ということです。
どちらが良い、という話ではありません
ここが肝心なところです。
どちらが上等という話ではありません。お好みの問題です。
背黒のかっちりした姿を好まれる方もいれば、白タレの柔らかい感じを好まれる方もいらっしゃいます。長く商売をしておりますと、そのどちらもはっきりした好みをお持ちだと分かります。
なお、同じカタクチイワシでも、漁の時期、漁場、そして炊きと乾燥の具合で、どちらに寄るかが変わります。産地で決まりきるものでもありません。
そして、好みは地域で分かれます
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
長く扱っておりますと、地域ごとに好まれる煮干しがまるで違うことに気づきます。
大きめのカタクチイワシを好まれる地域。うるめ煮干しを好まれる地域。白タレを好まれる地域。 キビナゴの煮干しを好んで使われる地域もあれば、ほとんど使われない地域もあります。
そしてこれは、偶然そうなったのではありません。伝統的に棲み分けができています。
それぞれに理由があるのですが、込み入った事情の絡む話ですので、ここでは控えさせていただきます。
だから、産地だけで選ぶともったいない
このことを知っていると、選び方が変わります。
「いま何が売れているか」だけで選ばれるより、お店のある土地で何が使われてきたかを一度確かめられたほうが、外れがありません。
その土地のお客様の舌には、その土地の煮干しが染みついています。よそでいちばん売れているものが、ご自分の店で受けるとはかぎりません。
もちろん、あえて外す道もあります
とはいえ、土地の常識どおりにするだけが商売ではありません。
あえて土地で使われていない煮干しを選んで、他店と違う一杯をつくる。 そういう道もあります。実際、そうやって差をつけておられるお店もあります。
どちらを選ばれるかは、お店の考え方次第です。私どもは、どちらの場合でも材料をご用意できます。
「いりこ」「だしじゃこ」も同じものです
最後に、呼び方をもうひとつ。
西日本では、煮干しを「いりこ」「だしじゃこ」と呼びます。関東で「煮干し」と言うものと、同じものです。地域が変われば、呼び方も変わります。
呼び方が違うだけで別のものだと思われて、探しあぐねる方がいらっしゃいます。 お探しの言葉で見つからないときは、お気軽にお尋ねください。
あわせてご覧ください
・煮干しいわし(長崎・熊本・瀬戸内・氷見など、産地ごとにご用意しています)
・うるめ煮干し、平子煮干し(カタクチとは違う、上品で癖の少ないだし)
・レア煮干し、珍しい煮干し(キビナゴ・ママカリ・イシモチなど)






