顆粒だしとは|粉末だしとの違いと、原材料表示の読み方

昆布粉末 100g
昆布粉末 100g

「顆粒だし(かりゅうだし)」という言葉は、ふだんからよく目にされると思います。ただ、粉末だしとの違いとなると、はっきり言葉にしにくいところがあるかもしれません。

当店はだしの原料をお納めする問屋です。顆粒だしそのものは扱っておりません。ですのでこの記事では、顆粒だしがどのようなものかを一般的な形でご紹介したうえで、当店が実際に扱っている粉末だしとの違いを、原材料表示という、どなたでも確かめられる手がかりから整理してみます。

顆粒だしとは、どのようなものか

顆粒だしは、だしの風味をつけた調味料を、小さな粒の形に固めて乾燥させたものです。読み方は「かりゅうだし」です。

作り方は、メーカー各社が製造工程を公表しています。かつお節を細かく粉砕して節粉にし、そこへエキスや調味料を加えて顆粒の形に仕上げ、乾燥させる。おおむね、この流れです。

つまり、節そのものは原料に入っています。けれども、それだけではありません。エキスや調味料を合わせて、粒の形に成形したものが顆粒だしです。

なお、「顆粒だしはフリーズドライしたもの」という説明を見かけることがありますが、これは正確ではありません。フリーズドライ(凍結乾燥)は、味噌汁の具などに使われる別の乾燥方法です。当店でも以前この記事にそのように書いておりました。今回あらためて調べ直し、書き改めました。誤った記述をそのままにしておりましたことを、お詫び申し上げます。

原材料表示を見ると、顆粒だしの中身が分かります

いちばん確かなのは、袋や箱の裏の原材料表示です。

お手元に顆粒だしがありましたら、袋や箱の裏をいちど見てみてください。和風の顆粒だしですと、たいていこのような並びになっています。

食塩、砂糖類(砂糖、乳糖)、風味原料(かつおぶし粉末、かつおエキス)、酵母エキス、調味料(アミノ酸等)

原材料表示は、重い順に書く決まりです。ですから、いちばん多く入っているのは食塩、その次が砂糖類ということになります。かつおぶし粉末は、三番目の「風味原料」の中にあります。

これは良し悪しの話ではありません。顆粒だしは、だしを取ることと味をつけることを、一度で済ませるための商品だということです。溶かすだけで味が決まるのは、塩と砂糖と調味料が最初から入っているからです。忙しい厨房でこれがどれほど助かるかは、申し上げるまでもないと思います。

「粉末だし」は、顆粒だしとは別のものです

ここが、いちばん混同されやすいところです。

当店の粉末は、煮干しや節そのものを粉砕しただけのものです。エキスも調味料も加えていません。

原材料表示で見ていただくと、はっきりします。

商品 原材料表示 産地 加工地
かつお粉 上 1kg かつおのふし 鹿児島県枕崎市 鹿児島県枕崎市
アジ煮干し粉末(牛深産)1kg アジ、塩 熊本県牛深 鹿児島県
煮干し粉(かたくち:長崎・熊本産)1kg かたくちいわし、塩 長崎県・熊本県 鹿児島県

魚の名前と、塩。それだけです。同じ「粉」の形をしていても、中身はまったく別のものだとお考えください。

水に溶けるか、だしがらが出るか

形が違えば、使い方も変わります。

顆粒だしは、粒の中に空気を含んでいますので、湯に入れるとほどけてなじみます。だしがらはほとんど出ません。

当店の粉末は、原料を砕いただけですから水には溶けません。粉はそのまま残りますし、だしがらも出ます。粉が残りますので、漉さなければ汁は濁ります。

味噌汁やラーメンスープのように、粉が入ったままでも差し支えのない料理でしたら、そのままお使いいただけます。澄んだ仕上がりにされたい場合は、漉していただくほうがきれいです。当店の商品ページでも、使用方法として「煮立ったお湯によく溶かして濾してご使用ください」とご案内しています。

顆粒だしと当店の粉末を、並べてみます

  顆粒だし 当店の粉末だし
中身 節粉・エキス・食塩・砂糖・調味料を合わせて粒にしたもの 煮干しや節を粉にしただけのもの
原材料表示 食塩や砂糖が先に並ぶ 魚や昆布の名前(と塩)だけ
湯に入れると 粒がほどけて、なじむ 粉のまま残る
だしがら ほとんど出ない 出る
味つけ 塩気と甘みが最初から入っている 入っていない
仕上がり 澄む 漉さなければ濁る
向いている場面 味を一定にそろえたいとき、手数を減らしたいとき 味つけを自分で決めたいとき、素材を確かめたいとき

顆粒だしの読み方は「かりゅうだし」です

「顆」の字は、ふだんあまり書かない字だと思います。読みは「か」で、つぶ、という意味です。粒の形をしているから顆粒。粉の形をしているから粉末。呼び名は、そのまま形を表しています。

薬でも「顆粒」と「散剤(粉薬)」を呼び分けますが、考え方は同じです。細かい粉のままだと飛び散りやすく、湿気も吸いやすいので、粒にまとめてあるわけです。

顆粒だしをそのまま食べることについて

顆粒だしは調味料として作られていますので、そのまま口に入れても差し支えのないようにできています。ただ、原材料表示のとおりいちばん多いのは食塩ですから、そのまま召し上がるとかなり塩辛く感じられるはずです。

当店の粉末については、商品ページの使用方法に「煮立ったお湯によく溶かして」とご案内しています。加熱してお使いいただくことを前提に、産地を選び、規格をそろえています。

当店の「粉末」と「パウダー」の違い

当店では、同じように見える商品を「粉末」と「パウダー」で呼び分けています。これにも理由があります。

粉末は、当店が自分で選んだ煮干しや節を、協力工場で粉にしてもらったものです。粒子は少し粗めです。

パウダーは、大きな工場で、工場側が選んだ煮干しや節を原料として、ずっと細かく仕上げたものです。粒子が細かいぶん、口当たりの面では安心です。

わざわざ自分たちで原料を選んでいるのは、混ぜ物を防ぐためです。何が入っているか分かっているものだけをお届けしたい、という考えからです。

漉す手間を減らした「混合だし」という選び方

「天然素材を使いたい。でも漉す手間はかけられない」

業務用の現場では、よくうかがうお話です。そのために用意しているのが混合だしです。

当店のあごだし混合だしかつお椎茸昆布だしは、小骨を網で振るって取り除いてあります。ただし、完全にゼロにはなりません。天然の素材をそのまま粉にしていますので、漉さずにお使いになると、口に残る感じがありますし、汁も濁ります。

そのうえで漉すかどうかは、お作りになる料理次第です。味噌汁やラーメンスープのように、粉が入っていても差し支えない料理でしたら、そのままお使いいただけます。澄んだ汁物に使われる場合は、漉していただくほうが仕上がりがきれいです。

そしてこの二つは、だし袋に入れず、粉のままバラで袋詰めしています。「だしパックは中身が見えないので心配」というお声をいただいたためです。袋を開けていただければ、何が入っているかを目で見て確かめていただけます。

あごだし混合だしの中身

長崎平戸産・牛深加工のあご煮干しを丸ごと粉砕した粉、枕崎産の鰹節の荒本を一本丸ごと粉砕したかつお粉、北海道産の昆布粉、牛深産のさば節粉、長崎・熊本産の煮干し粉、牛深産のアジ節。この六つです。

商品ページの原材料表示は「かつおのふし、さばのふし、かたくちいわし、昆布、アジ、とびうお」。食塩も調味料も入っていません。賞味期限は冷蔵で半年です。

どれも当店が単品で販売している素材で、混合だし用に別のものを回してはいません。産地も加工地も単品と同じです。

かつお椎茸昆布だしの中身

原材料表示は「かつおのふし、しいたけ、昆布」。産地は鹿児島県枕崎市・九州・北海道・岩手県、加工地は静岡県です。こちらも食塩は入っていません。賞味期限は冷蔵で半年です。

しいたけの香りが入りますので、精進だしに近い使い方をされる方もいらっしゃいます。

天然だしの素材は、何が違うか

昆布・かつお節・煮干しなどの素材からとるだしは、素材の組み合わせや煮出し方によって表情を変えられるのが強みです。手間はかかりますが、香りの奥行きや後味の質で差をつけたい業態には、根強い支持があります。

手間の中身は、はっきりしています。水に浸ける時間、火にかける時間、漉す時間、そしてだしがらの片づけ。粉末だしは、このうち「火にかける時間」と「漉す時間」を短くできるものだとお考えいただくと、位置づけが分かりやすいと思います。

業務用で選ぶときの考え方

一杯あたりの原料代だけで比べると、顆粒だしが有利に見えます。けれども、仕込みにあたる人数、お出しする料理の格、お客様が求めていらっしゃるもの。そこまで含めて考えると、答えは変わってきます。

看板メニューには素材からとっただし、サイドメニューや大量調理には顆粒だし。そのように使い分けていらっしゃる店舗は少なくありません。

粉末だしは、その中間にあたる選択肢です。天然素材そのものでありながら、だしを取る時間はかかりません。仕込みの時間が取れないけれど素材は妥協したくない、という現場に向いています。

原価の出し方については、別の記事で計算のしかたを詳しく書いています。あわせてご覧ください。

まず何から試すか

初めて当店の粉をお使いになる方には、かつお椎茸昆布だしアジ煮干し粉末をおすすめしています。

かつお椎茸昆布だしは、かつお粉・しいたけ粉・昆布粉を合わせたものです。アジ煮干し粉末は、単品でありながら扱いやすく、当店でも長くお選びいただいている粉です。

しいたけ粉末を昆布と合わせて、精進だしにお使いになる方もいらっしゃいます。

迷ったときに見る、三つの欄

顆粒だしか粉末だしか、粉末かパウダーか。選び方の手がかりは、すべて商品の表示の中にあります。

見る欄 分かること
原材料 食塩や砂糖、調味料が並んでいれば顆粒だし。魚や昆布の名前(と塩)だけなら、素材を粉にしたもの
商品名の「粉末」と「パウダー」 当店では、パウダーのほうが細かい
産地・加工地 魚が獲れた場所と、粉にした場所

当店は原料をお納めする問屋ですので、味づくりのご提案まではしておりません。そのかわり、上の三つは商品ページにすべて書き出しています。在庫と次回入荷の見込み、規格や原材料のことでしたら、いつでもお答えできます。お作りになるものに合わせてお選びいただけるよう、隠さずに並べておくのが、私どもの仕事だと思っています。

まとめ

顆粒だしとは、節粉やエキスに食塩・砂糖・調味料を合わせて、粒の形に固めたものです。溶かすだけで味が決まりますが、それは味つけが最初から入っているからです。

当店の粉末だしは、煮干しや節をそのまま粉にしただけのものです。水には溶けず、だしがらも出ます。そのかわり、何が入っているかは原材料表示のとおりで、味つけはお店の方がお決めになれます。

どちらが優れているという話ではありません。厨房の手数をどこまで減らしたいか、味をどこまで自分で決めたいか。その二つで、選ぶものが変わってまいります。

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