産地でこんなに違う煮干しいわし|牛深・長崎・瀬戸内・大分・氷見の味くらべ

煮干しいわし(瀬戸内) 特上 6kg 【訳あり特価】
煮干しいわし(瀬戸内) 特上 6kg 【訳あり特価】

煮干しいわしを仕入れるとき、産地までご覧になっているでしょうか。

袋には「煮干しいわし」としか書かれていないことがあります。ですが、産地が違えば別の食材といっていいほど、出るだしが変わります。

当店では、熊本県牛深、長崎県、瀬戸内、大分県の煮干しいわしを扱っています。同じかたくちいわしを煮て干したものなのに、どれも味が違います。獲れる海が違い、産地ごとに作り方の考え方が違うためです。

この記事では、その違いを一つずつご説明します。あわせて、産地の人が使う「白口」「青口」「白タレ」「銀タレ」といった言葉と、混じりものについても書きます。仕入れの判断にお役立てください。

同じかたくちいわしなのに、なぜ違うのか

煮干しは、いわしを煮て、干したものです。工程だけを見れば、どこで作っても同じように思えます。

違いが生まれるのは、原料の魚と、作り手の考え方です。

魚のほうは、獲れる海が違えば、魚の大きさも身の付き方も違います。同じかたくちいわしでも、瀬戸内で獲れるものと九州で獲れるものでは、揚がってくる魚そのものが違います。

作り手の考え方は、もっとはっきり分かれます。姿形の美しさを重んじる産地と、だしの強さを重んじる産地があります。どちらが優れているという話ではありません。その産地で求められてきたものが違うのです。

煮る時間の長さ、火の強さ。そうした加減が産地ごとに決まっていて、それが煮干しの性格になります。

熊本県牛深|煮込みが強く、力強いだし

牛深は、煮干しいわしの一大生産地として知られています。

牛深の煮干しいわしは、他の生産地に比べて煮込みが強いのが特徴です。そのぶん、力強いだしが出ます。荒々しさが牛深産の魅力です。

そして、ここが牛深の面白いところなのですが、強めに炊き上げるため、癖が少なく仕上がります。力強いのに癖が少ない。この組み合わせが、牛深の煮干しを使いやすくしています。

もうひとつの特徴が、腹の割れです。牛深の煮干しいわしは、腹が少し割れているものが多くあります。姿を重んじる目で見れば欠点になりますが、腹が割れているぶん、はらわたが取れています。身の割合が多くなりますので、だしを取る目的では不利になりません。

煮干しらしい、はっきりした味のだしをお求めでしたら、牛深をおすすめします。ラーメンスープのように、他の材料と合わせて厚みを出したいときにも向きます。

煮干しいわし(牛深) 9kgの原材料は、かたくちいわし、まいわし、塩です。牛深のものには、かたくちいわしに平子(まいわし)が混じっているものがあります。

長崎県|姿を重んじる産地

長崎産の煮干しいわしは、基本的に姿を重視して製造されています。

煮干しいわし(長崎) 上 9kgは、姿が当店の通常品より整っており、見た目もきれいに仕上がっています。長崎の煮干し市場でも評価の高い煮干しです。サイズは小さめで形も良く、色、香りともに力強い仕上がりです。

姿が整っているということは、袋詰めして小売用に出せるということでもあります。だしを取るだけなら見た目は関係ありませんが、店頭に並べる商品にするなら、姿は大切な条件になります。

同じ長崎でも、通常品と「上」では姿の揃い方が違います。だしを取るだけの用途でしたら通常品で十分に美味しく、姿を見せる商品にされるなら「上」を、という選び分けになります。

瀬戸内|白タレの柔らかさ

瀬戸内の煮干しいわしには、白タレと呼ばれるものがあります。

白タレは、通常の青口の煮干しと違い、身が柔らかいのが特徴です。苦味がなく、とても上品なだしが取れます。身が柔らかいので、そのまま食べても美味しくいただけます。

煮干しいわし(瀬戸内) 7.5kgは、サイズではなく味と価格で仕入れているものです。姿の揃いよりも、だしの質を優先した選び方をしています。プロのお客様向けの仕入れ方です。

もうひとつ、煮干しいわし(瀬戸内) 特上 6kg 【訳あり特価】という銀タレがあります。真っ直ぐで姿形がよく、味も良いものです。少しだけ皮剥がれや首取れがあるため、お求めやすい価格でお出ししています。

姿の良いものが訳あり特価になる、というのは煮干しの世界ではよくあることです。皮が少し剥がれた、首が取れた。それだけで等級が下がります。だしを取る用途では、まったく問題になりません。

なお、「大羽」「中」「小」といった大きさの呼び名も、「上」「特上」という等級も、当店が決めている基準です。業界で決められた物差しがあるわけではありませんので、よそ様の「上」と当店の「上」が同じ基準とは限りません。

大分県|市場に出にくい白タレ

大分の煮干しいわしも白タレです。風味は瀬戸内より強めで、長崎産の白タレと同じような感じになります。

この煮干しの面白いところは、産地で消費されることが多いため、市場に出回ることが少ない点です。九州の外では、あまり見かけません。

煮干しいわし(大分) 8kgは、別府湾で獲れた白口です。4cmから7cmの小ぶりなもので、白タレらしく身が柔らかく、苦味がなく上品なだしが取れます。

珍しいものをお探しのお客様、お品書きに産地を書かれるお店には、話のたねにもなります。

富山県氷見|すっと痩せ型のいわし

氷見産は、すっと痩せ型です。味は美味しく、当店がおすすめしている産地のひとつになります。

白口と青口、白タレと銀タレ

煮干しの世界には、産地の人が使う言葉がいくつかあります。はじめて聞くと戸惑いますが、覚えておくと仕入れのときに役立ちます。

白口と青口は、煮干しの見た目を指す言葉です。当店で扱っているものでは、大分の煮干しが白口にあたります。白口は身が柔らかく、苦味の少ないだしが取れます。青口はそれに比べると身が締まっています。

白タレと銀タレも、産地で使われる呼び方です。瀬戸内の特上は銀タレで、真っ直ぐで姿形の良いものを指します。

これらの言葉は産地によって使い方に幅がありますので、仕入れの際は言葉だけで判断せず、実物をご覧いただくのが確実です。当店では1kgからお出ししている商品もありますので、まず少量でお試しいただけます。

混じりものは、実はだしが良くなります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

商品名に「平子混」「うるめ混」と書かれているものがあります。かたくちいわしに、まいわし(平子)やうるめいわしが混じっているという意味です。市場では混じりものは等級が下がり、安く取引されます。

ところが、煮干しは単品よりも、色々な煮干しが混じったほうが実は美味しいだしが取れます。味が複雑になり、深みが出ます。

これは長年扱ってきて実感していることです。単一の魚種で取っただしは、きれいですが平坦になりがちです。何種類か混じると、味に幅が出ます。

うるめ煮干し(平子混) 8.5kg 【訳あり特価】は、うるめいわしに平子(まいわし)とキビナゴが混じったものです。産地は長崎県と熊本県牛深、原材料はうるめいわし、まいわし、キビナゴ、塩です。かたくちいわしが高値の時期には、たいへんお買い得な選び方になります。

煮干しいわし(平子・うるめ混:長崎) 9kg 【訳あり特価】は、かたくちいわし、まいわし、うるめいわしの3種類が混じります。煮込みが良いため姿形は整いませんが、味も香りも良いものです。

姿を見せる商品には向きませんが、だしを引くためだけにお使いになるのでしたら、混じりものは賢い選び方です。

サイズによる違い

煮干しは大きさによっても性格が変わります。当店の商品でご説明します。

大きさ 当店の商品の例 目安
約4cmから7cm 平子煮干し 小 小ぶり。数が入る
約9cm 煮干しいわし(瀬戸内) 特上 中くらい
約10cmから12cm 煮干しいわし(牛深) 大羽 大羽。脂がのる
約12cmから16cm 平子煮干し 中 幅広い用途に使いやすい

大きい魚ほど脂がのります。脂はだしに出ますので、はっきりした味になります。小さい魚は脂が少なく、苦味も弱いので、上品なだしに向きます。

どちらが良いということはなく、作られるお料理次第です。和食の椀物でしたら小さめ、ラーメンスープでしたら大きめ、というのが大まかな目安になります。

小さな煮干しは、頭を取らなくてもエグミが出にくいです。大きな煮干しは逆に、頭とはらわたを取ったほうが良いだしが取れます。

大きいものほど味が強く、小さいものほど上品な味、という捉え方をしています。

無塩という選び方

煮干しは、いわしを塩水で煮て作ります。ですから、原材料には「かたくちいわし、塩」と書かれます。

ところが当店には、原材料が「かたくちいわし」だけの商品があります。

無塩煮干しいわし(大分) 7.5kgです。塩を使わずに作られた煮干しで、たいへん珍しいものです。

減塩に取り組まれている給食施設や介護施設では、だしの塩分も計算に入れる必要があります。無塩の煮干しであれば、塩分の管理がしやすくなります。

原材料欄を見比べていただくと、この違いはすぐ分かります。仕入れの際は、産地と等級だけでなく、原材料欄もご覧ください。

当店が「痩せた魚」を狙う理由

時期によっては、大きくても脂が少なく、良い煮干しが作れることがあります。当店はその時を狙って買い入れています。

魚は雨が降った後は沖に逃げますので、餌を食べに帰ってきた魚は痩せていて脂が少なく、煮干し向きになります。当店はこれを買い入れています。

いっぽう、脂の乗った魚は、燻製にしていわし節やうるめ節にすると逆に美味しさが増します。ですから当店は、脂が乗ったものは節として仕入れています。理屈をきれいに説明するのは難しいのですが、脂だけでも、燻製だけでも、この味にはなりません。

地域の好みについて

煮干しの好みは地域によって違い、伝統的な棲み分けができています。当店から言えるのは、次の二つです。

関西では、瀬戸内産の白タレのほか、うるめ節・いわし節も好まれています。

長崎産の煮干しは、関東で使うお客様が多くなっています。

なお、カタクチイワシの煮干しはここ数年不漁が続いています。平子煮干しがその代わりに豊漁で、品質のよい商品が揃っています。

産地の選び分け

ここまでの話を、表にまとめます。

産地 だしの方向 向いている使い方
熊本県牛深 煮込みが強く力強い。強めに炊くため癖は少ない ラーメンスープ、はっきりした味が欲しいとき
長崎県 色・香りが力強く、姿が整う だしにも、袋詰めして小売にも
瀬戸内 白タレ。身が柔らかく苦味が少ない 和食のだし、そのまま食べる用途にも
大分県 白タレ。瀬戸内より風味は強め 上品なだし、珍しさを出したいとき

どれか一つが正解ということはありません。作られるお料理によって、合うものが変わります。何種類か使い分けておられるお店も多くあります。

産地が変わっても、変わらないこと

最後に、産地の話とは別のことをひとつ書かせてください。

煮干しは、酸化が進むと味が変わります。どんなに良い産地の、良い等級のものでも、置き方が悪ければ香りが抜けます。

当店では、出荷の直前まで冷凍で保管しています。営業冷蔵庫では-25℃以下、出荷の直前まで-15℃です。常温で保管されているものに比べて、香りの抜けがありません。

当店で扱っている煮干しいわしには、酸化防止剤を使用しておりません。

お手元に届いたあとの保管方法も、規格表に書いています。乾物ですので常温でも置けますが、美味しさを保つには冷蔵をおすすめします。冷凍がいちばんです。賞味期限は冷蔵で半年です。

産地の違いを味わっていただくには、その味がきちんと残っていることが前提になります。そこを守るのが、卸である当店の仕事だと考えています。

煮干しいわしの一覧

産地の違いは、文章で読むより、実際にだしを引いていただくほうが早道かと思います。同じ条件で何種類か引いて飲み比べていただくと、違いがはっきり出ます。

煮干しいわしの一覧から、産地ごとの商品をご覧いただけます。

カタクチイワシは年によって水揚げの差が大きく、産地によっては入荷が止まることもあります。

うるめいわし、平子いわしなど、かたくちいわし以外の煮干しについてはうるめ煮干し、平子煮干しの一覧をご覧ください。

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