当店の商品には【訳あり特価】と付いたものがいくつもあります。ご覧になった方から「何が訳ありなのですか」とお尋ねいただくことがあります。
もっともなご質問です。「訳あり」と書いてあるだけでは、買う側は判断できません。中身が悪いのか、見た目だけなのか、それが分からなければ、業務でお使いになるものを選べるはずがありません。
ですので当店は、訳あり特価の商品には必ず【訳あり特価の理由】を書いています。ひとつの例外もありません。この記事では、その理由がどういう種類に分かれるのか、そして当店がどういう考えで訳ありを仕入れているのかを、そのまま書きます。
いちばん先に見るのは、脂臭さです
訳ありの品を仕入れるとき、当店が最初に確かめるのは脂臭さがないことです。
これは価格よりも先です。だしを取る商品にとって、脂の臭いは取り返しがつかないからです。見た目は選べます。混ざりものは分かって使えば問題ありません。しかし臭いだけは、どう使っても出てきます。
次に見るのは、価格です
脂臭さがなければ、次は価格を見ます。
当たり前のようですが、これも順番が大事です。価格的に魅力がないものは、この段階で買いません。訳ありという名前が付いていても、お客様にとってお得でなければ、仕入れる意味がないからです。
最後に、見た目と混ざり具合を見ます
脂臭さがなく、価格にも魅力がある。そこまで来てはじめて、見た目がどうなっているか、ほかの魚がどれくらい混じっているかを見ます。
順番でいうと最後です。見た目と混ざり具合は、正直にお伝えすれば選んでいただけるものだからです。折れているなら折れていると書く。カタクチが3割混じっているなら3割と書く。それで用途に合う方が選んでくださいます。
混ざりものは、あえて「混ざりが多いもの」を選んでいます
ここは、少し意外に思われるところかもしれません。
少しだけ混じっているものは、市場でもあまり値が動きません。「ほとんど平子で、ちょっとだけカタクチが入っている」という程度では、扱いも値段も通常のものとほとんど同じです。それを仕入れて訳あり特価として並べても、お客様にとってお得になりません。
ですので当店は、あえて3種類混じっていたり、仕分けするのが大変なものに狙いをつけています。
選り分けるのが厄介なものほど、扱う側は敬遠します。手間がかかるからです。そのぶん、値に魅力が出ます。当店が訳あり特価として並べられるのは、たいていこういうものです。
そして、こういうものが逆に美味しいのです
これは、続けて仕入れてきて分かったことです。
混ざりの多いものは、逆に美味しいものが多いのも事実です。
理屈をつけて説明することはできません。ただ、実際にそうなのです。1種類の魚だけで取っただしにはない出方をします。混じっているから劣る、ということはまったくありません。
ですので、混ざりものの訳ありは「安いから仕方なく」ではなく、味を分かったうえで選んでいただきたい商品です。続けてお使いくださる方がいらっしゃるのは、そういうことなのだと思います。
もうひとつの訳ありがあります ― 当店の見込み違いです
ここからが、あまり書かれない話だと思います。
買付がうまくいくときばかりではありません。
仕入れて冷凍庫で保管しているうちに、「この価格ではお客様に認めていただけないだろう」と思うことがあります。当店の見込み違いです。そういうものは、採算を度外視して訳あり特価にします。
黙って通常の価格で並べておくこともできます。けれど、それをすると、買ってくださった方が「思っていたものと違う」と感じることになります。それがいちばん避けたいことです。
サンプルが良くても、全部の箱が良いとは限りません
もうひとつ、訳ありになる大きな理由があります。
仕入れの前には必ずサンプルを見ます。ところが、サンプルが良かったからといって、届いた箱がすべて同じとは限りません。魚は自然のものですから、同じ日に同じ場所で獲れたものでも、箱によって差が出ます。
これを訳ありにすることも多いです。「箱により混じり方にばらつきがございます」と商品ページに書いてあるのは、そのためです。ごまかしようがありませんし、ごまかす気もありません。
訳ありの理由は、大きく3つに分かれます
ここまでの話を、選ぶ側から見て整理します。当店の訳あり特価の理由は、性質のまったく違う3種類に分かれます。
① 姿が崩れている
折れている、割れている、頭が取れている。味やその他の品質は変わりません。ただ、そのまま器に出す料理には向きません。
・アジ煮干し(牛深) 7kg … 薄脂で味は良いが、全体的に折れていて姿売にできない
・アジ煮干し(長崎) 8kg … 通常品に比べ折れや割れが多い
だしを取ってこすのであれば、姿は関係ありません。この①がいちばん分かりやすい買い得だと思います。
② 別の魚が混じっている
こちらは味そのものが変わります。ですので、狙って選ぶものです。
・平子煮干し(いわし混じり:長崎) 8kg … 平子にカタクチが3から4割
・平子煮干し(キビナゴ混じり:長崎) 8kg … 平子にキビナゴが半分ほど
・煮干しいわし(長崎) 白タレ 9kg … 白タレに平子とうるめが混じる
混じりもの=品質が落ちたもの、ではありません。混じっている分だけ値が動いている、というだけのことです。
③ 脂の状態
3つめが脂です。脂は多すぎても少なすぎても訳ありになります。
・鯛煮干し 7kg … 鯛自体の脂分が多く色が黄変。脂のにおいが多少する
・うるめ節 13kg … 逆に、通常品より脂ののりが少なく味が薄い
・煮干しいわし(牛深) 大羽 10kg … 少し脂がある
脂については、当店ははっきり書きます。鯛煮干しの商品ページには「脂のにおいが多少しますので気になさる方はおやめください」と書いています。買わないでくださいと書いているのです。
売る側として書きにくい一文であることは承知しています。それでも書きます。脂の臭いは、届いてから「聞いていない」となるいちばん困る種類のものだからです。先に書いておけば、気にならない用途の方だけが選んでくださいます。
なお、煮干しいわしの大羽については事情が違います。いま全く水揚げのないカタクチイワシの大羽を、少量だけ手に入れることができたものです。少し脂がある。だからこの価格で出せます。手に入らないものが手に入ったときの訳あり、という形もあります。
どれを選べばよいか
用途で分けていただくのがいちばん確かです。
だしを取ってこす使い方なら、①の姿が崩れているものが向きます。味は通常のものと変わらないのに、姿だけの理由で価格が下がっているからです。
いまのだしの味を動かしたくない場合は、②は避けてください。魚の構成が変わりますので、味は必ず動きます。逆に、いまのだしをもう一段よくしたいとお考えなら、②を試してみる価値があります。前に書いたとおり、混ざりの多いものは美味しいことが多いからです。
③は、商品ページの一文をよくお読みください。脂のにおいに触れているものは、そのとおりに受け取っていただいて構いません。
いつ出るかは、当店にも分かりません
訳あり特価は、決まった周期で出るものではありません。
買付でよい話があったとき、あるいは当店の見込みが外れたとき。そのどちらかのタイミングでしか出ません。ですので「来月また出ますか」と聞かれても、お答えできないのが正直なところです。
数量も限られます。原料の箱ごとの販売になるものが多く、出たと思ったらなくなっていることがあります。
必ず理由を書くことにしています
訳あり特価は、当店にとって都合のよい商品ばかりではありません。見込み違いを認めて採算を度外視するものも、買わないでくださいと書くものも含まれています。
それでも、何が訳ありなのかを必ず書くことにしています。書いておけば、用途に合う方が選んでくださいます。書かなければ、買ってくださった方に「聞いていない」と思わせることになります。
お客様にいつも誠実でありたい。それだけのことです。
訳あり特価をご覧になるには
訳あり特価は、それぞれの魚のカテゴリの中に並んでいます。
すべての魚をまとめてご覧になる場合は、だし・ラーメンスープ用食材の一覧からどうぞ。





