煮干しや乾物の栄養成分表示の読み方|100gあたりの数字が大きく見える理由

煮干しの栄養はどれくらいですか」というお尋ねを、ときどきいただきます。当店は業務用の乾物を扱う問屋で、栄養の専門家ではありません。ですので、体によいとか、何に効くといったお話はいたしません。

そのかわり、袋に書いてある栄養成分表示を、どう読めばよいかならお答えできます。乾物の表示には、少しばかり読み方のコツがございます。ここでは、当店の商品ページに載せている数字をそのまま並べながら、そのコツを書きます。

先に、正直に申し上げておきます

この記事では、健康への効き目については一切書きません。 「カルシウムが豊富です」「骨によい」といった書き方も、いたしません。

理由は二つあります。一つは、当店がそれを申し上げる立場にないからです。もう一つは、当店の栄養成分表示に、カルシウムの数値がそもそも入っていないからです。

煮干しとカルシウムを結びつけてお探しの方が多いことは存じております。ただ、当店の袋に書いてあるのは、熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の五つだけです。書いていない数字を、それらしく書き足すことはいたしません。 ここは、ご了承いただければと思います。

まず、当店の数字を並べます

いずれも100gあたりの数値です。商品ページに載せているものを、そのまま写しました。

商品 熱量 たんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量
煮干しいわし 319kcal 67.5g 5.4g 0.1g 4.57g
干し小エビ(無着色) 333kcal 69.9g 5.0g 3.2g 3.05g
干し桜えび(台湾産) 312kcal 64.9g 4.0g 0.1g 3.0g
干しむきエビ 上 308kcal 56.2g 4.9g 9.8g 3.56g
真昆布 138kcal 11.0g 1.0g 55.7g 6.1g
しいたけパウダー(国産) 182kcal 19.3g 3.7g 63.4g 0g
海老の頭(甘エビ頭) 107kcal 10.6g 6.5g 1.6g 0.48g

この表を眺めていただくと、いくつか「おや」と思われるところがあるかと思います。順番にご説明します。

その一 ― たんぱく質67.5gという数字の意味

煮干しのたんぱく質は100gあたり67.5gです。半分以上がたんぱく質、という数字になります。牛肉や卵と比べても、ずいぶん大きく見えます。

種明かしは簡単で、乾物には水分がほとんど入っていないからです。

生の魚は、重さの7割から8割が水です。煮て干せば、その水が抜けます。残ったものだけを100g集めて量れば、当然、中身が濃くなります。数字が大きいのは、栄養が特別に多いからではなく、水が抜けているからです。

その二 ― 同じエビでも、3倍の差がつきます

いちばん分かりやすいのが、エビの二つです。

熱量 たんぱく質 状態
干し小エビ 333kcal 69.9g 乾物
海老の頭(甘エビ頭) 107kcal 10.6g 冷凍

どちらもエビですが、たんぱく質はおよそ6倍、熱量は3倍の開きがあります。片方は干したもの、片方は冷凍のもの。この差のほとんどは、水があるかないかです。

ですので、状態の違うものを100gあたりの数字で見比べても、あまり意味がありません。 乾物どうし、冷凍品どうしで比べていただくのがよいかと思います。

その三 ― 昆布だけ、炭水化物が多い理由

表をご覧いただくと、真昆布しいたけパウダーだけ、炭水化物が飛び抜けています。55.7gと63.4gです。魚やエビは0.1gから9.8gですから、桁が違います。

これは、魚と海藻・きのこでは、体をつくっているものが違うためです。魚はたんぱく質でできています。海藻やきのこは、食物繊維や糖の仲間でできています。栄養成分表示では、それらがまとめて炭水化物の欄に入ります。

ですから、この欄が大きいことは、甘いという意味ではありません。素材の種類が違う、というだけの話です。

その四 ― 食塩相当量は、作り方の違いが出ます

食塩相当量にも、素材ごとの事情が出ます。

  • 煮干し 4.57g 原材料が「かたくちいわし、塩」であることからも分かるとおり、煮る工程で塩を使います
  • 真昆布 6.1g 塩を足しているわけではなく、海のものですので、もともと含まれています
  • しいたけパウダー 0g 原材料は干ししいたけだけです
  • 海老の頭 0.48g 冷凍品ですので、水を含んだ状態の数字です

減塩を気にしていらっしゃる施設様からは、この欄についてよくお尋ねいただきます。ただし、この数字は素材そのものを100g食べた場合のものです。 だしを取って素材を引き上げる使い方の場合、汁に出る塩分は、この数字よりずっと少なくなります。どれくらい少なくなるかは、取り方によりますので、当店では申し上げられません。

その五 ― だしに出るものと、素材に残るもの

ここが、乾物の栄養表示でいちばん誤解されやすいところかと思います。

栄養成分表示の数字は、その素材を丸ごと食べた場合のものです。 だしを取って、煮干しや昆布を引き上げてしまう使い方では、表の数字がそのまま汁に移るわけではありません。

旨味の成分は湯に溶け出しますが、たんぱく質のかたまりである身の部分は、多くが素材のほうに残ります。ですから、「煮干しのたんぱく質67.5g」を目当てにだしを取っても、その大半は引き上げた煮干しのほうに残っているということになります。

もし素材そのものを召し上がるのでしたら、話は変わります。当店には、そのまま召し上がっていただける商品もございます。

いっぽう、干し小エビ加熱してお使いいただく前提の商品です。使用方法の欄に「加熱加工用」と書いてあります。ここは商品によって違いますので、袋の裏をご確認ください。

その六 ― 出典が二種類あります

当店の栄養成分表示をよくご覧になると、出典の書き方が二つあることに気づかれるかと思います。

  • 《当社調べ》 煮干し、干し小エビ、干しむきエビ、海老の頭など
  • 《日本食品表示成分表2010より》 昆布、干し桜えび、しいたけパウダーなど

前者は当店が調べた数値、後者は国が公表している成分表から引いた数値です。どちらであるかを隠さず書いているのは、そのほうが誠実だと考えているからです。

また、天然の素材ですので、獲れた時期や産地によって数値は動きます。 表示の数字は、あくまで代表的な値だとお考えください。1gの単位まで管理が必要なご用途の場合は、事前にご相談いただけますでしょうか。ロットごとの資料をご用意できる場合があります。

よくいただくお尋ね ― 煮干しは青魚ですか

検索でこの言葉をよく見かけますので、事実だけお答えします。

当店の煮干しの原材料はかたくちいわし、商品によってはまいわしが混ざります。いわしは、さば・あじ・さんまなどと同じく、背が青い魚として扱われる魚です。ですので、煮干しの原料は青魚です。

アレルギーや献立の都合で青魚を避けていらっしゃる場合は、この点をご確認ください。昆布しいたけパウダーのような、魚以外のだし素材もございます。詳しくはこちらに書きました。

まとめ ― 表示は、比べる相手を選んで読む

乾物の栄養成分表示を読むときに、覚えておいていただきたいのは次の四つです。

  • 100gあたりの数字である。 実際に使う量に直して考える
  • 乾物は水が抜けている分、数字が大きく出る。 冷凍品や生の食材と直接は比べられない
  • だしを取って引き上げる使い方では、表示の数字がそのまま汁に移るわけではない
  • 出典が二種類ある。 また、天然のものなので数値は動く

栄養の判断そのものは、栄養士の方や専門の方にご相談ください。当店にできるのは、袋に書いてあることを、正確にお伝えすることまでです。 そのかわり、そこは間違いのないようにお伝えしてまいります。

袋の裏の見方は、こちらにも詳しく書いております。

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