かつお節を仕入れるとき、袋の裏の原材料欄をご覧になったことはあるでしょうか。
そこには「かつおのふし」または「かつおかれぶし」と書かれています。たった数文字の違いですが、作り方も、値段も、出るだしも違います。
この記事では、その違いと、厚削り・粉といった形の違いについてご説明します。当店で扱っている商品を例に、なるべく具体的に書きます。
原材料欄で見分けられます
かつお節には、大きく分けて二つあります。
| 呼び方 | 原材料欄の書き方 | 作り方 |
|---|---|---|
| 荒節 | かつおのふし | 煮て、燻して、乾かしたところまで |
| 枯節・本枯節 | かつおかれぶし | 荒節にカビを付けて、長く熟成させたもの |
お手元の袋を見て、原材料が「かつおのふし」であれば荒節、「かつおかれぶし」であれば枯節です。商品名に何と書かれていても、原材料欄は嘘をつきません。
荒節|煮て、燻して、乾かす
かつおを三枚におろして煮る。煮たものを薪で燻して、乾かす。ここまでが荒節です。
燻すことで、香ばしさが付きます。かつお節らしい、あのはっきりした香りです。日常のだしとして使われているかつお節の多くは、この荒節です。
当店のかつお厚削り(枕崎産) 1kgは、原材料が「かつおのふし」ですので荒節です。鹿児島県枕崎産の鰹節を、職人が丹精込めて厚削りにしています。
枯節|カビを付けて、時間をかける
荒節にカビを付けて、天日に干して、またカビを付ける。これを何度か繰り返して長く熟成させたものが枯節です。何度も繰り返したものを本枯節と呼びます。
カビ付けをすると、水分と脂が抜けます。荒節にはない深い旨味と、華やかな香りが出ます。
かつお枯節厚削り 1kgは、原材料が「かつおかれぶし」です。ただいま入荷未定になっています。入荷しましたらお知らせしますので、ご希望の方は商品ページの入荷連絡をご登録ください。
この商品については、産地が枕崎に変わったときに、粉が少なくなって厚削りの品質が良くなった、という経緯もあります。同じ商品名でも、作られる場所が変われば中身は変わります。
「枯れ本節」という言い方をやめました
当店では以前、加工業者から教わった「枯れ本節」という呼び方を使っていました。ただ、本枯節と紛らわしく、読み違えられる心配がありましたので、2026年8月に「枯節」へ統一しました。商品名も説明文もカテゴリ名も、ブログの過去記事もすべて書き換えています。
商品ページのURLだけは、お気に入りに入れてくださっている方がいらっしゃるかもしれませんので、そのままにしています。
あわせて、呼び方のことをもうひとつ。マグロ節厚削りの原料はメジマグロとキハダマグロですが、これを「しび節」とは言いません。
荒節と枯節、どちらを選ぶか
値段は枯節のほうが高くなります。手間と時間がかかっているためです。
ですが、高いほうが常に良いとは限りません。
はっきりした香ばしさが欲しいのでしたら荒節が向きます。ラーメンスープや、他の材料と合わせて厚みを出す使い方では、荒節の香りが立ちます。
上品な、澄んだだしを引きたいのでしたら枯節です。お椀のように、だしそのものを味わっていただく料理に向きます。
お店の看板になる一品には枯節、日々の仕込みには荒節、というように使い分けておられるお店もあります。
厚削りと花かつおは、別のものです
かつお節は、削り方によっても性格が変わります。
いわゆる花かつおは、薄く削ったものです。ふわりとした薄い削りで、熱を加えるとすぐに香りが立ちます。短い時間でだしが出ます。
厚削りは、その名のとおり厚く削ったものです。長く煮出すことによって濃厚なだしが取れます。
当店の厚削りは、30分以上煮出してお使いいただくものです。花かつおと同じ感覚で短時間で引き上げると、持ち味が出ません。
当店のかつお厚削り(枕崎産)は、従来品のかつお厚削りより、少し厚めの削り具合になっています。厚いほど、長く煮出したときに濃いだしが出ます。
粉という選び方
節を粉にしたものもあります。
かつお粉 上 1kgは、原材料が「かつおのふし」です。節を原料にしていますので、原材料欄には魚の名前ではなく「かつおのふし」と書きます。
粉の良いところは、だしが早く出ることです。表面積が大きいので、短い時間で成分が出ます。忙しい厨房では、この差が効いてきます。
使い方は、出汁袋などに入れて煮出していただきます。加熱加工用ですので、そのまま振りかける用途には向きません。
当店ではかつお節パウダー 1kgもご用意しています。
枕崎という産地
当店のかつお厚削り、かつお粉は、いずれも鹿児島県枕崎市の産です。加工地も枕崎です。
枕崎は、かつお節の産地として知られた土地です。原料の見極めから乾燥まで、職人の手が入ります。
産地と加工地が同じであることは、規格表でご確認いただけます。当店の商品ページには、産地と加工地を分けて書いています。魚が獲れた場所と、節に加工された場所は、必ずしも同じではないためです。
削りの厚さは、煮出す時間で選ぶ
厚削りを選ぶときに、いちばん大事なのは厚さそのものではありません。どれだけ煮出せるかです。
厚く削ったものは、長く煮出せます。長く煮出せるということは、じっくり成分を引き出せるということです。逆にいえば、短時間で引き上げる使い方をすると、中まで火が通らないうちに終わってしまいます。
厨房の段取りのなかで、だしを取る時間がどれだけ確保できるか。そこから逆算して削りの厚さを選んでいただくと、無駄がありません。
30分以上煮出せるのでしたら厚削り。それが難しいのでしたら、粉のほうが向いています。
節と煮干しは、作り方が違います
同じ乾物でも、節と煮干しは作り方が違います。
煮干しは、魚を茹でて干したものです。節は、煮干しにしたものをさらに燻して干します。この「燻す」工程があるかないかが、大きな分かれ目です。
燻すと香ばしさが付きます。かつお節の香りは、この工程から来ています。
原材料欄でも見分けられます。節の粉は節が原料ですので「かつおのふし」と書きます。煮干しは魚が原料ですので「かたくちいわし、塩」のように魚の名前を書きます。一段さかのぼって、その商品が何からできているかを書くのが決まりです。
保管のこと
かつお節も、煮干しと同じように酸化します。酸化が進むと香りが抜けます。
当店では、出荷の直前まで冷凍で保管しています。営業冷蔵庫では-25℃以下、出荷の直前まで-15℃です。常温で保管されているものに比べて、香りの抜けがありません。
お手元に届いてからは、乾物ですので常温でも置けますが、美味しさを保つには冷蔵をおすすめします。冷凍がいちばんです。賞味期限は冷蔵で半年です。
削ったものは、節のかたまりよりも空気に触れる面が多くなります。そのぶん酸化も早く進みます。開封後は特にお気をつけください。
合わせただしという選び方
節そのものではありませんが、当店にはあらかじめ合わせただしもあります。
かつお椎茸昆布だし 1kg 【無添加】です。かつおと椎茸と昆布を合わせたもので、無添加です。
だしは、一種類より何種類か合わせたほうが味に幅が出ます。これは節でも煮干しでも同じで、単一の材料で取っただしは、きれいですが平坦になりがちです。
ご自身でお好みの割合を作られるお店もあれば、合わせただしを使って手間を省かれるお店もあります。仕込みの時間が限られているのでしたら、合わせただしから始めて、あとから足していくという進め方もあります。
選び分けのまとめ
| 商品 | 原材料 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| かつお厚削り(枕崎産) | かつおのふし(荒節) | 30分以上煮出して濃厚なだしに。ラーメンスープ、仕込み |
| かつお枯節厚削り | かつおかれぶし(枯節) | 上品で澄んだだし。お椀など。ただいま入荷未定 |
| かつお粉 上 | かつおのふし | 出汁袋に入れて煮出す。短い時間でだしを出したいとき |
商品の一覧
かつお厚削り、食べる煮干しの一覧から商品をご覧いただけます。
かつお以外の節については、さば節、宗田節、まぐろ節、いわし節、うるめ節、サンマ節も扱っています。かつおとは違うだしが出ますので、合わせてお試しいただくと使い分けの幅が広がります。
節を粉にしたものについては魚粉・煮干し粉・パウダーの一覧をご覧ください。




