煮干しと聞いて思い浮かぶのは、たいていカタクチイワシだと思います。実際、当店でもいちばん動くのはそれです。
ただ、当店の棚にはそれ以外の煮干しが二十種類ほど並んでいます。鯛、カマス、エソ、イカ、あさり、イシモチ、タチウオ、ママカリ、ヒイラギ、クロムツ、カナガシラ。名前を見ても、どんなだしが出るのか見当がつかないものばかりだと思います。
この記事では、それを一枚に並べて、どういう方向のだしが出るのかを書きました。すべて当店の商品ページに書いてある内容をまとめ直したものです。
煮干しは、大きく三つの方向に分かれます
まずここを押さえていただくと、あとが早いです。
| 種類 | だしの方向 | 代表 |
|---|---|---|
| 青魚の煮干し | 力強い。少し苦味と青魚の香りがある | カタクチイワシ、まいわし、うるめ |
| 白身魚の煮干し | 澄んでいて、上品。雑味が少ない | 鯛、カマス、エソ、イシモチ、イサキ |
| 貝・イカの煮干し | 魚とは別の甘みとコク | あさり、イカ |
いわし系のだしが「効く」だしだとすれば、白身の煮干しは「澄む」だしです。同じ煮干しという名前でも、使いどころがまったく違います。
青魚のほうは煮干しいわしにまとめてあります。この記事で扱うのは、その先の話です。
白身の煮干し ── 鯛・カマス・エソ
鯛・カマス・エソは、いずれも白身の魚です。青魚に比べて雑味が少なく、ふんわりとした上品なだしが出ます。清湯系のラーメン、吸い物、上品に仕上げたい和食に。いわしでは主張が強すぎる場面で使われています。
売り場は鯛煮干し、カマス煮干し、エソ煮干しです。
| 煮干し | 産地 | 加工地 | 原材料 |
|---|---|---|---|
| 鯛煮干し 小 | 高知県 | 高知県 | 鯛、塩 |
| 鯛煮干し | 高知県/鳥取県 | 同じ | 鯛、塩 |
| カマス煮干し | 石川県 | 熊本県牛深 | カマス、塩 |
| エソ煮干し | 長崎県 | 長崎県 | エソ、塩 |
カマス煮干しだけは、産地と加工地が違います。石川県で獲れたカマスを、熊本県牛深で煮干しにしています。
鯛煮干しは、産地によって中身が違います
ここは正直に書いておきます。
高知産のものは、鯛の稚魚です。鳥取(境港)産のものについては、当店で原料の魚種を確認できておりませんので、そのようには記載していません。分かっていないことを、分かっているように書かないためです。
大きさによっても味が変わります。小さいものは、大きな鯛煮干しより早く干し上がるぶん、香りも味もよく出ます。姿かたちも整っています。大きいものは15センチから19センチほどで、脂分が少なく、また違う味わいです。
天然物ですので、ロットによってサイズが変わります。ここは揃えようがありません。
頭を取ってお使いいただくと、さらに癖の少ない澄んだだしになります。
鯛煮干しは、だしを取るだけのものではありません
鯛めしにも使えます。少し水で戻して、その戻し汁ごとご飯を炊いていただくと、鯛の香りのご飯になります。
だし材としてだけでなく、こういう使い方もできる煮干しです。
貝のだし ── あさり煮干し
あさり煮干しは、新鮮なあさりを素早く塩水でボイルし、身だけを取り出して天日で乾燥させたものです。殻は付いていません。だしを取るためだけに作られた食材です。産地は中国、原材料はあさりと塩。
だしを取ると、まず潮の香りが立ちます。そのあとに、わずかな甘さが残ります。かつおや煮干しのように前に出る味ではなく、スープの底のほうで支える味です。
戻し方は干し貝柱と同じです。水に浸けて、じっくり旨みを出してください。戻し汁は絶対に捨てないでください。あさりの旨みは、そのほとんどが戻し汁に出ています。
使い方は、あさり煮干しだけでだしを取るというより、いつものだしに少量足して深さを出すのが向きます。そのまま具材にもお使いいただけます。
殻ごと使いたい場合は殻付きあさり、貝の旨みをもっと澄んだ形で使いたい場合は干し貝柱もあります。
【正直に申し上げます】あさり煮干しは、届くたびに色が違います
あさり煮干しは、穫れる時期・乾燥時の天気・水分量によって色がかなり変わります。水分が多めで色が薄く、ふっくらしたロットもあれば、乾燥がよく色が濃く、薄べったいロットもあります。
味はどちらも美味しいのですが、外国産のため仕分けはできません。届いたものの色が前回と違っていても、品質が落ちたわけではありません。ここは先に申し上げておきます。
イカ煮干し ── 魚とは違う甘み
イカ煮干しは、長崎県・熊本県産です。原材料はイカと塩。
いわしの煮干しのような青魚の香りがなく、澄んだ甘さが立ちます。魚とは違う甘みが出ますので、他店と違うスープをつくりたいラーメン店様にご利用いただいています。
だしの取り方は、水から入れてじっくり煮出してください。急がずに時間をかけたほうが、甘みがよく出ます。いわしのだしと重ねると、イカの甘みが土台に入って厚みが出ます。単独で使うより、いつものだしに足す形のほうが扱いやすいと思います。
よく炙っていただくと香りが立って、そのまま召し上がれます。
【正直に申し上げます】イカ煮干しのサイズと色
サイズはそのときによって5センチから15センチとばらつきがあります。当店はサイズを揃えることよりも、鮮度の良いものを選んで仕入れています。揃った見た目が必要な用途には向きません。
また、イカが黒っぽく見えるものがあります。これはイカ墨によるものです。傷んでいるわけではありません。
イカ煮干しには酸化防止剤を使っていません。そのぶん香りが飛びやすいので、出荷直前まで冷凍保存しています。
なお、カニ煮干しはただいまお取り扱いしておりません。カニの旨みでしたらカニパウダーがあります。
年に数ケースしか獲れないもの
レア煮干し、珍しい煮干しの棚に置いているものは、カタクチイワシのようにいつでも入るものではありません。多くは年に数ケースしか獲れません。その年に獲れた分で終わりです。
| 煮干し | だしの印象 | 産地 |
|---|---|---|
| イシモチ煮干し | 白身で、甘みのあるだし | 長崎県 |
| タチウオ煮干し | とても美味しいだしが取れます。ただし滅多に獲れません | 長崎県 |
| イサキ煮干し | 見た目はごつい魚ですが、味は上品です | 長崎県 |
| 念仏鯛煮干し | 控えめな味 | 長崎県 |
| キビナゴ煮干し | 脂のあるものは向きませんが、当店のものは脂がなく、淡白で控えめです | 長崎県 |
| ママカリ煮干し | 淡白な味 | 長崎県・熊本県牛深 |
| ヒイラギ煮干し | 淡白 | 長崎県 |
| クロムツ煮干し | 淡白 | 長崎県 |
| カナガシラ煮干し | 淡白 | 山口県 |
| 雑魚煮干し | 淡白 | 長崎県 |
ヒイラギ・クロムツ・カナガシラ・雑魚の4種については、はっきり書いておきます。味はいずれも淡白です。珍しい煮干しを使ってみたいというご要望にお応えするために置いています。味そのものよりも、他所にないものであることに意味があります。
雑魚煮干しは、原材料の欄が少し変わっています。「サバ・カタクチ・マイワシ・ウルメ・イカ等」と書いてあります。獲れたものがそのまま入っているということです。
「限定品」と書いてある意味
商品名に「限定品」と入っているものは、その入荷分で終わりです。再入荷はお約束できません。
気に入ったものが定番として続くとは限らない点だけ、ご承知おきください。入荷の見込みについては、お問い合わせいただければお調べします。
だし用ではない煮干しもあります
食べる煮干しは、だしを取るためのものではなく、そのまま召し上がるための煮干しです。原材料はまいわしと塩、産地は長崎県。
同じ「煮干し」でも用途が違いますので、だしを取る目的でお探しの場合はご注意ください。
産地と原材料の一覧
この記事に出てきた煮干しを、産地・加工地・原材料で並べました。すべて商品ページの規格表から写したものです。
| 商品 | 原材料 | 産地 | 加工地 |
|---|---|---|---|
| 鯛煮干し 小 | 鯛、塩 | 高知県 | 高知県 |
| 鯛煮干し | 鯛、塩 | 高知県/鳥取県 | 同じ |
| カマス煮干し | カマス、塩 | 石川県 | 熊本県牛深 |
| エソ煮干し | エソ、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| あさり煮干し | あさり、塩 | 中国 | 中国 |
| あさり殻付き | あさり、塩 | 中国 | 中国 |
| イカ煮干し | イカ・塩 | 長崎県・熊本県 | 長崎県・熊本県 |
| イシモチ煮干し | イシモチ、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| タチウオ煮干し | タチウオ、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| イサキ煮干し | イサキ、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| 念仏鯛煮干し | 念仏鯛、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| キビナゴ煮干し | キビナゴ、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| ママカリ煮干し | ままかり、塩 | 長崎県・熊本県牛深 | 同じ |
| ヒイラギ煮干し | ヒイラギ、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| クロムツ煮干し | クロムツ、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| カナガシラ煮干し | カナガシラ、塩 | 山口県 | 山口県 |
| 雑魚煮干し | サバ・カタクチ・マイワシ・ウルメ・イカ等、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| 平子煮干し(キビナゴ混じり) | まいわし、キビナゴ、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| 食べる煮干し(平子) | まいわし、塩 | 長崎県 | 長崎県 |
| 干し貝柱(ホタテ) | ホタテ貝、塩 | 北海道常呂産ほか | 北海道 |
| 干し貝柱(イタヤ貝柱) | イタヤ貝、塩 | 中国 | 中国 |
長崎県産が多いのは、レア煮干しの多くが同じ海で獲れているためです。
保管のこと
賞味期限は、この記事に出てくる煮干しはすべて冷蔵で半年です。
白身の煮干しは香りが繊細です。常温で置かれたものとは差が出ますので、当店では出荷直前まで冷凍保存しています。お手元でも冷蔵、できれば冷凍での保管をおすすめします。
保存についてはだし用乾物の正しい保存方法にまとめてあります。
粉にしたものもあります
ここまで書いてきたのは形のある煮干しですが、粉にしたものも当店では扱っています。だしを取る手間がかからず、浸ける時間も要りません。
ただし、粉になると何を粉にしたのかが見た目では分からなくなります。そこは原材料の欄で確かめていただくことになります。詳しくは魚粉・節粉の選び方と煮干し粉の違いと使い分けにまとめてあります。
まとめ ── だしの方向から選ぶ
| 出したいだし | 選ぶもの |
|---|---|
| 力強く、効かせたい | いわし系の煮干し |
| 澄ませたい、上品に仕上げたい | 鯛・カマス・エソ・イシモチ・イサキ |
| 底に深みを足したい | あさり煮干し |
| 魚とは違う甘みを足したい | イカ煮干し |
| 他所にないものを使いたい | レア煮干しの棚のもの |
| そのまま食べたい | 食べる煮干し |
合うかどうかは、実際に炊いてみないと分かりません。当店では容量をお選びいただけますので、少ない量からお試しいただけます。
売り場はこちらです。鯛煮干し、カマス煮干し、エソ煮干し/レア煮干し、珍しい煮干し/イカ煮干し、カニ煮干し/あさり煮干し/殻付きあさり/干し貝柱、干しホタテ貝柱/煮干しいわし
貝類・イカは、アレルギーの表示が必要になる場合があります。アレルギー対応メニューとだし選びのポイントにまとめてあります。






