しいたけ粉としいたけパウダーは、別のものです|魚を使わないだしの素材

しいたけ粉(国産) 1kg
しいたけ粉(国産) 1kg

魚を使わないだしを探している、というお問い合わせをいただくことがあります。精進料理をお出しする店、動物性のものを避けるお客様に対応する店、それに、魚の香りを立たせたくない料理を作られる店。事情はそれぞれです。

魚を使わないとなると、選べる素材は多くありません。干し椎茸と昆布が中心になります。

この記事では、そのうち干し椎茸のほうを詳しくご説明します。当店にはしいたけ粉(国産)としいたけパウダー(国産)の二つがあるのですが、名前が似ているだけで、中身も使い方もまるで違うものです。

粉とパウダーは、別のものです

まず結論から書きます。

しいたけ粉 しいたけパウダー
元になるもの 選別のときに出る落ち粉 干し椎茸を丸ごと
粒の大きさ ばらばら 細かい
使い方 水またはぬるま湯で戻す 戻さずそのまま
濾す手間 濾すか、出汁袋に入れる そのまま使える
後から取り出せるか 取り出せる 取り出せない

どちらも産地は九州・大分など、加工地は静岡県です。原材料欄はどちらも「しいたけ」の一語です。原料は同じ干し椎茸で、違うのは何を使ってどう挽いたか、というところです。

しいたけ粉|選別のときに出るもの

しいたけ粉(国産)は、干し椎茸を選別するときに出る落ち粉です。

丸のままの干し椎茸を出荷用に選り分けると、欠けたもの、砕けたもの、粉になったものが必ず出ます。それを集めたものが、この商品です。もともとの椎茸は同じですので、香りも味も落ちていません。ただ、大きさは揃いません。商品ページにも「大きさはバラバラです。あらかじめご了承ください」と書いています。

丸の干し椎茸と比べたときの利点は、表面積です。細かくなっているぶん、少ない量でも香りが強く出ます。丸のまま戻すより、だしの出も早くなります。

使うときは、水またはぬるま湯でゆっくり戻します。ひとつ注意があって、水の含みが良いので、丸の干し椎茸を戻すときよりやや多めの水が要ります。戻したあとは、濾すか、出汁袋に入れて煮出してください。

しいたけパウダー|丸ごと挽いたもの

しいたけパウダー(国産)のほうは、国産の干し椎茸を丸ごと粉砕しています。落ち粉ではありません。

細かく挽いてありますので、水で戻す必要がありません。だしの出が早く、濾したり出汁袋に入れたりする手間もかかりません。粉のまま鍋に入れて、そのまま使えます。

そのぶん、はっきりした欠点があります。後から取り出せません。商品ページにも「パウダー状のためしいたけを後から取り出すことができません。和食の一部の用途には向かない場合があります」と書いています。澄んだ汁に仕上げたい料理では、粉が残ることが問題になります。

取り出せなくてよい料理か、取り出したい料理か。選び分けはそこです。

干し椎茸を戻す手間は、粉なら要りません

干し椎茸からだしを取ろうとすると、まず戻すところから始まります。一般には、冷たい水に浸けて数時間から一晩ほど、と言われています。急ぐときはぬるま湯を使う方法もありますが、香りは冷水でゆっくり戻したほうが立つ、というのが通り相場です。

厨房の段取りから見ますと、これは「前の日に仕込んでおく仕事」になります。うっかり忘れれば、その日のしいたけだしはありません。仕込みの多い日ほど、抜けやすい工程でもあります。

粉には、この工程がありません。 とくにしいたけパウダー(国産)は、商品ページに書いてあるとおり、濾したり出汁袋に入れたりせずに、そのまま汁へ入れられます。前の晩に戻しておく必要がなくなります。

ここで、正直に申し上げておきます。当店では、原形の干し椎茸そのものは扱っておりません。 扱っているのは、しいたけ粉としいたけパウダーの二つだけです。ですので「干し椎茸の戻し方」について、当店が経験からご案内できることはございません。

そのかわり、戻す工程をまるごと省きたいというご相談でしたら、お役に立てるかと思います。粉とパウダーのどちらを選ぶかで、省ける手間が変わります。

ただし、戻し汁そのものを使う料理や、戻した椎茸を具として使う料理には、粉では代わりになりません。 煮しめの椎茸、ちらし寿司の甘煮。ああいったものは、原形の干し椎茸でなければできません。粉が向くのは、あくまでだしの旨味だけを足したい場面です。

顆粒だしとは、別のものです

ここが、当店の粉・パウダー全体にかかる、いちばん大事なところです。

当店の粉とパウダーは、原料そのものを粉砕したものです。節を粉にしたものにエキスや調味料を加えて粒にした顆粒だしとは、作り方が違います。

水に溶けません。粉そのものは残ります。口当たりが気になる用途では、布や細かい網で濾してお使いください。味噌汁やラーメンスープのように、粉が入ったままで差し支えない料理では、そのままお使いいただけます。

顆粒だしは、だしを取ったあとの液体を乾かして粒にしたものですので、湯に入れれば消えます。当店の粉は、素材そのものが細かくなっているだけですので、消えません。同じ「粉」でも、この違いは大きいです。

粉全体の話は魚粉・節粉の選び方|原材料欄でわかる「ふし」と「煮干し」の違いにも書きました。

もうひとつの柱、昆布

魚を使わないだしの、もう一方の柱が昆布です。

当店にはだし昆布、根昆布と昆布粉末、昆布パウダーをご用意しています。産地は北海道の各浜と、韓国産、中国産があります。産地ごとの性格や等級の見方は、別の記事にまとめました。

昆布も、丸のままと粉末では扱いが変わります。粉末は溶かすと多少の粘りが出ますので、澄んだ仕上がりにしたい場合は、だしを取ったあとにキッチンペーパーで濾していただくときれいになります。

三つの旨味を合わせるという考え方

魚を使ってよい現場でしたら、かつお椎茸昆布だしという選び方もあります。かつお節、九州産の干し椎茸、国産昆布の三つを合わせたものです。

当店では、こうお伝えしています。

かつお節(イノシン酸)・干し椎茸(グアニル酸)・昆布(グルタミン酸)の旨味の組み合わせは格別です。

この商品は塩も添加物も入っていません。原材料欄は「かつおのふし、しいたけ、昆布」の三つだけです。しかも三種類とも、削り節の落ち粉ではなく原料を丸ごと粉にしています。

ただし、かつお節が入っていますので、魚を避けたい現場には向きません。そういう場合は、しいたけと昆布の二つで組むことになります。

粉にすると、原料が見えなくなります

粉やパウダーには、丸のままの素材にはない事情があります。商品ページにも書いていることですが、大事な話ですのでここにも書きます。

粉にしてしまうと原料が何であるかは見えなくなります。当店では原料そのものを自分たちで選び、協力工場で粉にしてもらっております。

丸の干し椎茸なら、開けた瞬間に良し悪しがある程度わかります。粉になってしまうと、見た目ではわかりません。だからこそ、誰がどの原料を選んだのかが効いてきます。

「落ち粉」という考え方

しいたけ粉のところで「落ち粉」という言葉が出てきました。当店の商品には、この落ち粉を使ったものがいくつかあります。

しじみ粉末もそうです。しじみの姿のままのものは、おつまみなどの原料となり大変高価ですが、割れたり形が崩れたりした落ち粉を使うことで、使いやすい価格でご提供しています。

考え方は、まぐろ節のときと同じです。当店のマグロ節厚削りについては、こうお伝えしています。

削り粉や小さめの削りを取り除くと歩留まりが落ち、そのぶん2割ほど値が上がります。当社ではだしを取るのに差し支えのない範囲のものまで入れて、そのぶんお求めやすい価格でご用意しています。

見た目を揃えることにお金をかけるか、だしの質を保ったまま価格を抑えるか。当店は後者を選んでいます。

粉にしてしまう商品では、この考え方がとくに効きます。もともと形が見えなくなるものに、姿を揃える手間をかける理由が薄いためです。

保管のこと

賞味期限はどちらも冷蔵で半年です。乾物ですので常温でも置けますが、美味しさを保つには冷蔵をおすすめします。冷凍がいちばんです。当店では出荷の直前まで15度以下で保管しています。

粉は、丸のままのものより空気に触れる面が多くなります。そのぶん香りが抜けるのも早くなります。開封後は特にお気をつけください。

選び分けのまとめ

こういうとき 向いているもの
だしを取ったあと、素材を取り出したい しいたけ粉
戻す時間がない。粉が残ってよい料理 しいたけパウダー
魚を使わない。澄んだだしにしたい しいたけ粉と昆布
魚を使ってよい。手早く厚みを出したい かつお椎茸昆布だし

商品はしいたけパウダー、椎茸粉末の一覧からご覧いただけます。粉末だし、混合だしの一覧には、合わせたものを並べています。

魚のだしをお探しでしたら魚粉・煮干し粉・パウダーの一覧をご覧ください。

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