だしの歩留まり計算ガイド|業務用で実質コストを見極めるポイント

かつお椎茸昆布だし【無添加】 1kg
かつお椎茸昆布だし【無添加】 1kg
だしの原価は、乾物の単価だけでは決まりません。同じ重さの乾物でも、実際にどれだけのだしが取れるかは、素材の形や質、そして取り方によって変わります。この差を数字にしたものが「歩留まり」です。ここでは煮干し・節・昆布・粉末を例に、業務用で歩留まりをどう見積もり、どう仕入れの判断に使うかをご紹介します。

歩留まりとは何か

歩留まりとは、投入した素材の量に対して、実際に使えるだしがどれだけ取れるかの割合です。同じ「1kgの乾物」でも、素材の種類や煮出し方によって取れるだしの量は変わります。レシピ全体のコスト計算の土台になる考え方です。

「単価」と「実質コスト」は別のものです

仕入れを検討するとき、まず目が行くのは単価です。ただし単価が同じでも、取れるだしの量が違えば、1食あたりの負担は変わります。比べるべきは「重さあたりの単価」ではなく、「1食あたりに実際にかかる量」です。 歩留まりを一度でも測っておくと、この比較ができるようになります。逆に測っていないと、単価の上下だけで判断することになり、結果として割に合わない選び方をしてしまうことがあります。

歩留まりを左右する3つのこと

  • … 丸のままか、厚削りか、粉末か
  • 素材そのもの … 産地、脂の乗り、炊きの強さ
  • 取り方 … 一番だしだけか、二番だしまで取るか
順に見ていきます。

形で変わります ― 丸のまま・厚削り・粉末

丸のままの煮干しは、下処理の分だけ目減りします。当店の考え方では、小さな煮干しは頭を取らなくてもエグミが出にくく、大きな煮干しは逆に頭とはらわたを取ったほうが良いだしが取れます。大きいものほど味が強く、小さいものほど上品な味、という捉え方です。頭とはらわたを外せばその分は減りますので、サイズの選び方は歩留まりにも関わってきます。 厚削りは、あらかじめ削ってあるものです。かつお厚削りはかつお節の荒節をそのまま厚削りにしたオーソドックスなもの、鰹枯節厚削りはカビを付けて寝かせて熟成させたかつお節を使ったもので、酸味が取れて、かつお厚削りと比べて段違いに美味しくなります。ただし生産工程が複雑です。ほかにマグロ節厚削りもあります。 粉末は、粒が細かいぶん湯に触れる面積が大きく、だしが出やすい形です。仕込みの時間という面でも、現場では扱いやすくなります。

粉末について、いちばん誤解の多いところ

当店の粉末と、市販の顆粒だしはまったく別物です。 顆粒だしは、だしを取ったあとに加工してフリーズドライしたものですので、水に溶けてだしがらが出ません。当店のものは原料そのものを粉砕しただけですので、水には溶けません。粉そのものは残りますし、だしがらは出ます。 気にされないならそのままで結構ですが、気にされるなら濾していただきたい、というのが当店の考えです。味噌汁やラーメンスープのように、粉が入ったままでも差し支えのない料理では、そのままお使いいただけます。 歩留まりという観点で言えば、粉ごとお使いになる料理であれば、素材を残さず使い切れるということでもあります。

「粉末」と「パウダー」は粗さが違います

粉末は、当店が自分で選んだ煮干し・節を、協力工場で粉にしてもらったものです。少し粗めです。パウダーは大きな工場で、工場側が選んだ煮干し・節を原料として、ずっと細かく仕上げたものです。細かい粒子なので安全です。 当店がわざわざ自分で原料を選ぶのは、混ぜ物を防ぐためです。 なお、商品名が「パウダー」でも実物が微粉末とは限りません。カニパウダーは名前に反して粗めで、逆に昆布粉末は名前に反して微粉末です。焼きあご粉・あご粉は繊維が多いため、微粉砕にはなりません。より細かいものをお探しの場合は、煮干しパウダー・かつお節パウダー・さば節パウダーをご覧ください。

混合だしという選び方

あごだし混合だし、かつお椎茸昆布だしは、小骨を網で振るって取り除いてあります。そのため、漉す手間を減らしてお使いいただけます。ただし小骨が完全にゼロになるわけではありません。天然のだしですので、口に残る感じがありますし、汁も濁ります。 だし袋に入れず、粉のままバラで袋詰めしているのは、「だしパックは中身が見えないので心配」という声にお応えするためです。袋を開ければ、何が入っているかを目で見て確かめていただけます。

素材そのものによっても変わります

について。当店が扱う節は、脂が多く柔らかめのものを仕入れています。柔らかいので手やハンマーで折りやすく、だしも出やすいためです。脂があるので燻製と相性が良く、とても美味しくなります。いっぽう乾燥が良くて脂が少ない節は、削り節やパウダー用に使われます。脂があると削り節やパウダーにはできないためです。 煮干しについて。産地によって性格が変わります。牛深産は炊きが強く、炊き時間が長いぶん味が強く出ます。長崎産は煮干し市場に出して競りにかけられるため、見た目を重視して煮込みが弱い傾向があります。同じ「カタクチイワシの煮干し」でも、こうした違いがあることは押さえておいてください。

一番だしと二番だし

煮干しやかつお節は、一番だしのあとに二番だしを取ることで、素材から取れる総量を増やせます。ただし二番だしは風味が弱くなりますので、用途を分けて使うのが一般的です。昆布は浸水の時間や湯の温度によって旨みの出方が変わりますので、仕込みに合わせて調整すると、無駄なく使い切ることができます。

自店の歩留まりを測る手順

数字は、自店で測るのがいちばん確実です。むずかしいことはありません。次の4つを記録するだけです。
  • 使った乾物の重量
  • 仕込んだ水の量
  • 出来上がっただしの量
  • だしがらの重量
これを同じ条件で2回から3回繰り返せば、その素材の目安が出ます。あとは1食に使うだしの量から逆算すれば、1食あたりに必要な乾物の量が出ます。仕入れ量を決めるときや、新メニューの原価を試算するときに、そのまま使える数字になります。

どこかで見かけた数字を、そのまま当てはめないでください

歩留まりの目安は、素材の産地・時期・大きさ、そして厨房の機器や仕込みの量によって変わります。よそで見かけた数字が、自店にそのまま当てはまるとは限りません。 当店としても、すべての商品について一律の数字をお出しすることはしていません。測る条件によって変わってしまうからです。正直に申し上げて、そこは一度ご自身の厨房で測っていただくのがいちばん確かです。

まとめ

歩留まりの考え方を押さえておくと、素材ごとのコストや使用量をより正確に見積もれるようになります。ポイントは3つです。単価ではなく1食あたりで比べること。形(丸のまま・厚削り・粉末)によって取れ方が変わること。そして数字は自店で測ること。 仕入れ計画やメニュー原価の見直しに、ぜひ役立ててください。素材選びで迷われたときは、お気軽にお問い合わせください。

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