当店は乾物の卸です。煮干し、節、昆布。並んでいるのは、干したものが中心です。
そのなかに、冷凍のままお送りする商品がいくつかあります。この記事では、そのうちのひとつ、海老の頭(甘エビ頭)を軸に、冷凍でお届けする商品のことを書きます。
なぜ乾物屋がこれを冷凍で置いているのか、そして使うときに何に気をつけていただきたいのか。順にご説明します。
甘エビの頭だけを、袋に詰めたものです
海老の頭(甘エビ頭)IQFは、その名のとおり、甘エビの頭だけを集めて凍らせたものです。
原材料欄は「ホッコク赤エビ(甘エビ)」です。産地はグリーンランドとカナダ、加工地は日本と中国です。
頭にはミソが詰まっています。身のほうにはない濃さがあって、だしを取ると、はっきりエビの味が出ます。エビ風味のスープやエビ油を作られるラーメン店では、定番の材料になっています。
胴の部分が入っていないぶん、頭の濃さだけが袋に入っている、という商品です。
昔は、扱えないものでした
ここが、この商品でいちばんお伝えしたいところです。
甘エビの頭は、大変に鮮度が落ちやすいものです。獲れてから時間が経つと、すぐに味が変わります。ですので昔は、産地から離れた場所で使うことが難しい材料でした。
商品ページには、こう書いています。
甘エビ頭は大変鮮度が落ちやすく昔は加工しにくいものでしたが、急速凍結できる工場で加工することによって鮮度を保つことに成功しました。
獲れた場所のすぐそばに、急速に凍らせる設備がある。それができるようになって、はじめて商品になった、ということです。
技術が変わると、扱える材料が変わります。乾物の世界でも、同じことが起きています。
IQFとは、一つずつ凍らせるという意味です
商品名に付いている「IQF」は、個別凍結のことです。
まとめて塊に凍らせるのではなく、一つずつばらばらの状態で凍らせます。ですので、袋から使う分だけ取り出せます。
塊で凍っていると、少しだけ使いたいときに全部を解かすことになります。解かして戻して、をくり返すと味が落ちます。ばらばらに凍っていれば、それが起きません。
業務用では、この差が効きます。仕込みの量が日によって変わる現場ほど、ありがたい形です。
使う前に、ドリップを切ってください
ここは必ずお読みください。商品ページにも同じことを書いています。
解凍して、ドリップを出してください。解凍して出てくるドリップ(水分)には臭みがあります。冷凍のまま味噌汁などに直接入れて煮立たせる使い方は、おすすめしておりません。冷蔵庫で解凍し、ドリップを切ってからお使いください。
冷凍のまま鍋に放り込むと、ドリップがそのまま汁に出ます。エビの良い香りではなく、臭みのほうが立ちます。
手間としては、前の日に冷蔵庫へ移しておくだけです。解けたら水分を切る。それだけで仕上がりが変わります。
向かないこと
良いところと同じ重さで、向かないところも書いておきます。
まず、そのまま使える材料ではありません。解凍とドリップ切りの手間が要ります。忙しい時間帯に思い立って使う、という材料ではありません。
それから、冷凍庫の場所を取ります。乾物のように棚に積んでおくことができません。冷凍の保管場所がない現場では、エビパウダーや干しエビのほうが扱いやすいかと思います。
殻も付いています。だしを取ったあとに、殻を漉す手間が出ます。
干しエビ・エビパウダーとは、別のものです
エビの材料は当店にいくつかありますが、性格が違います。
| 形 | 保管 | 向いていること | |
|---|---|---|---|
| 海老の頭(甘エビ頭) | 冷凍 | 冷凍庫 | 頭のミソからの濃いだし |
| 干しエビ | 乾物 | 常温から冷蔵 | 形を見せる使い方、具材 |
| エビパウダー | 粉 | 常温から冷蔵 | 手早く風味を足す |
干しエビのほうは干しエビ、乾燥エビの一覧に、粉のほうはエビパウダーの一覧に並べています。エビとカニの素材全体の選び方は、別の記事にまとめました。
ホッコク赤エビという名前
原材料欄には「ホッコク赤エビ(甘エビ)」とあります。
甘エビというのは通称で、魚の名前としてはホッコク赤エビです。北の冷たい海の、深いところにいるエビです。当店のものはグリーンランドとカナダで獲れたものを使っています。
前の記事にも書きましたが、原材料欄には通称ではなく、決められた名前を書きます。商品名と原材料欄で呼び方が違うのは、そのためです。
表示の読み方については袋の裏の読み方|原材料欄と産地欄が教えてくれることにまとめました。
ラーメン店で定番になりました
商品ページのよくあるご質問に、「なぜラーメン店で使われているのですか」という問いを立てています。答えはこうです。
甘エビ頭にはミソが詰まっていてとても美味しいだし・スープが取れます。エビ風味のスープやエビ油には欠かせない食材として、ラーメン店様の最近の定番になっています。
エビの香りを立てたスープが広まったことで、この材料が動くようになりました。以前は、頭だけをまとめて手に入れること自体が難しかったものです。
用途はラーメンだけではありません。各種料理のベース、うどん、そば、おでん、鍋のだし。あら汁の具としてもお使いいただけます。だしを取ったあとの頭を、そのまま具にされる店もあります。
容量のこと
500gの袋を単位にして、6袋、12袋、12袋を2箱、という形でご用意しています。冷凍庫の場所と、使う速さに合わせてお選びください。
一度に大きく持つと保管が大変ですが、袋の単位が小さいので、開けた袋から順に使っていただけます。個別凍結ですので、袋を開けたあとも必要な分だけ取り出せます。
温度を守るということ
店長の実家は、もともと冷凍保管業を営んでいました。温度の変化と、温度の管理については、そこで身につけたものがあります。
営業冷蔵庫も自社冷蔵庫も、マイナス25度以下で回しています。煮干しや節は出荷の直前まで冷凍で置いてから送りますが、この商品は最後まで凍ったままお届けします。
温度を上げない、という一点だけを守り続ける仕事です。乾物と冷凍品で、やっていることは変わりません。
保管のこと
賞味期限は冷凍庫で半年です。この商品には酸化防止剤を使っていません。
当店では、営業冷蔵庫も自社冷蔵庫もマイナス25度以下で保管しています。出荷まで温度を上げません。
お手元に届いてからは、冷凍庫で保管してください。ここは乾物と違って、常温に置けるものではありません。
冷凍でお送りする、ほかの商品
冷凍でお届けするものは、甘エビの頭だけではありません。
殻付きあさりは生冷凍です。中国産で、原材料はあさりと塩。1kgに80から100粒ほど入っています。生のものですので、必ず加熱してお使いください。解凍後は早めにお使いいただくものです。賞味期限は袋に記載しています。
干しむきエビと干しむきエビ 上も冷凍でお送りします。乾物ではありますが、香りの抜けを避けるためです。「上」はインドネシア産で約2から3cm、通常のものは中国産で約2cmです。どちらも原材料はピンクエビと塩です。
イカ煮干しも冷凍でお届けします。長崎県と熊本県産で、大きさは5から15cm。時期によってばらつきがあります。
乾物として売っているものでも、香りを大事にするものは凍らせたまま送ります。お手元での保管については、それぞれの商品ページの保管方法をご覧ください。
乾物屋が、冷凍で送っている理由
最初の問いに戻ります。
当店が乾物を扱うときの考え方は、温度で守る、というものです。煮干しも節も、酸化防止剤を使わずに、出荷の直前まで冷凍で保管しています。乾物は傷まないけれど、味は変わる。だから温度を下げておく。
甘エビの頭は、その考え方をいちばん厳しい形で当てはめた商品です。乾かして水分を抜くのではなく、凍らせたまま届ける。守り方が違うだけで、考えていることは同じです。
乾物をなぜ冷凍で保管しているのかについては乾物なのに、冷凍で保管していますに詳しく書きました。
まとめ
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 原材料 | ホッコク赤エビ(甘エビ) |
| 産地 | グリーンランド・カナダ |
| 加工地 | 日本・中国 |
| 形 | IQF(個別凍結) |
| 解凍 | 冷蔵庫で解凍し、ドリップを切る |
| 賞味期限 | 冷凍庫で半年 |
商品は海老の頭、甘エビ頭の一覧からご覧いただけます。カニのほうをお探しでしたらカニパウダー、カニ煮干しの一覧をご覧ください。





