だしパック(出汁袋)に、何をどれくらい入れればよいか。ラーメン店や給食施設のお客様から、ときどきご質問をいただきます。当店は業務用の乾物を扱う問屋ですので、料理の教え方はできません。ただ、どの素材が袋を必要として、どの素材が要らないかなら、袋の裏に書いてあることからお答えできます。
はじめに、正直に申し上げます
当店では、だしパックの袋そのものを扱っておりません。 扱っているのは、その中に入れるだしの素材のほうです。ですので「どの袋がよいか」というご相談には、お答えできることがありません。
そのかわり、何を入れるか、どれくらい入れるか、どの素材なら袋が要らないか——ここは毎日扱っておりますので、お伝えできることがあります。
袋が要るもの、要らないもの
まず、いちばん大事なところです。すべての素材に袋が必要なわけではありません。
| 素材 | 袋 | 理由 |
|---|---|---|
| 煮干し | どちらでも | 大きいので、網じゃくしでも引き上げられます |
| 昆布 | 要りません | そのまま入れて、引き上げるだけです |
| かつお厚削り | あると楽 | 削り粉が混ざるため、漉す手間が減ります |
| 煮干し粉・節粉 | 要ります | 粉のままでは漉しきれません |
| しいたけパウダー | 要りません | そのまま汁に入れて使う商品です |
当店の商品ページの使用方法の欄には、実際にこう書いてあります。
そのままご使用になるか、出汁袋に入れて煮出してください。(煮干しいわし)
煮干しは、袋がなくても構いません。 大きさがありますので、網じゃくしですくえます。袋に入れるのは、引き上げを楽にするためです。
粉ものは、袋がないと漉しきれません
当店の粉は、原料そのものを粉にしたものです。 だしを取ったあとに乾かして粒にした顆粒だしとは、作り方が違います。ですので、湯に入れても溶けません。 粉のまま汁の中に残ります。
澄んだ汁に仕上げたい場合は、袋に入れるか、布や細かい網で漉していただくことになります。逆に、味噌汁やラーメンのスープのように粉が入ったままで差し支えない料理では、袋なしでそのままお使いいただけます。
ただし、ひとつだけ例外があります。
しいたけパウダー(国産)は干ししいたけを丸ごと細粉にしたもので、濾したり出汁袋に入れたりせずそのまま使えます。
しいたけパウダーは、粉が細かいため、そのまま汁に入れて使う前提の商品です。同じ「粉」でも、しいたけ粉のほうは袋か漉しが要ります。名前が似ていますので、ここはお間違えのないよう。
どれくらい入れるか
素材によって目安が違います。当店の商品ページに書いてあるものを並べます。
| 素材 | 当店のご案内 |
|---|---|
| 煮干し | 水1リットルに20g。浸けるのは1時間から2時間 |
| かつお厚削り | 30分以上煮出す(量の指定はありません) |
| 昆布 | 「通常のだし昆布と同様の出汁のとり方で」 |
袋に入れる場合も、量の考え方は同じです。ただ、袋にぎゅうぎゅうに詰めると、水が回らなくなります。 だしは、素材の表面に水が触れることで出ます。袋の中で素材が動けるくらいの余裕があるほうが、よく出ます。
ここも、お店の味に合わせて加減していただくところです。 一般的な量から始めて、薄ければ増やす。当店が決めることではないと考えております。
袋の形は、テトラパックがおすすめです
だしパックには、平たい封筒のような形のものと、テトラパック(三角錐の形をした袋)があります。
当店としておすすめしたいのは、テトラパックのほうです。 理由ははっきりしています。
袋の中に膨らみがありますので、煮出しているあいだ、中で素材が踊ります。
平たい袋では、素材が板のように重なったまま動きません。中心のほうまで水が回らず、外側からしかだしが出ないことになります。テトラパックなら、湯が対流するのに合わせて中身も動きますので、同じ量を入れても、出るだしが違ってきます。
もちろん、平たい袋でも使えないわけではありません。その場合は、詰める量を控えめにして、中で素材が動く余地を残していただくほうがよく出ます。
煮出す時間は、素材でまるで違います
ここが、いちばん間違えやすいところかもしれません。だしパックに入れるものによって、火にかける時間がまるで違います。
- かつお厚削りは30分以上。 商品ページにもそう書いてあります。薄削り(花かつお)とは違い、長く煮出すことで濃いだしが出ます
- 煮干しは、沸いてから5分ほど。 長く煮込むとえぐみが出やすくなります
- 昆布は、沸かしきらない。 沸く手前で引き上げるのが一般的です
ここで、大事なことを書き添えておきます。
この時間は、あくまで目安です。 長く煮出せば、魚や昆布の香りと味は、そのぶん強く出ます。その濃さを好まれる方も、実際にいらっしゃいます。
「煮すぎるとえぐみが出る」とよく言われますし、当店もそうご案内してまいりました。ただ、それは澄んだ、すっきりした汁に仕上げたい場合の話です。魚の香りが前に出るスープをお作りになりたいのでしたら、長めに煮出すことが間違いということにはなりません。
味の好みは、人によって違います。 濃いほうがよいという方、すっきりしたほうがよいという方。どちらが正しいということはありません。上の時間から始めて、お店の味に近づくほうへ動かしていただければと思います。
三つを同じ鍋に、同じ時間だけ入れるのは無理があります。 合わせだしを取る場合は、昆布を先に引き上げてから節や煮干しを入れる、という順番になります。詳しくはこちらに書きました。
袋を絞るか、絞らないか
引き上げた袋を絞るかどうかは、よくお尋ねいただきます。
一般的には、澄んだ汁に仕上げたいなら絞らないと言われます。絞ると細かい粉や濁りが出るためです。いっぽう、ラーメンのスープのように濃さを優先する場合は、しっかり絞られるお店もあります。
どちらが正しいという話ではありません。 仕上げたい汁によります。
袋の目の粗さにも、気をつけてください
だしパックには、目の粗いものと細かいものがあります。粉ものを入れる場合は、目の細かい袋でないと漏れます。
とくにエビパウダーや昆布粉末のような細かい粉は、目の粗い袋では素通りしてしまいます。袋をお選びになるときは、入れる素材の粒の大きさに合わせてご検討ください。
煮干しや厚削りのような形のあるものでしたら、粗めの袋のほうが水がよく回ります。
使い終わった袋のこと
引き上げた袋の中身には、旨味がまったく残っていないわけではありません。もう一度水を張って弱火にかければ、二番だしが取れます。一番だしより薄くなりますので、煮物の下地や割り水に、という使われ方が一般的です。
ここは、それぞれのお店のやりくりの話です。当店から「こうしてください」と申し上げることではありません。
だしパックが向かないこと
良いことばかり書いても仕方がありませんので、向かない場面も書いておきます。
- 大量に取るとき 寸胴いっぱいのだしを袋で取ろうとすると、袋の数が要ります。かえって手間が増えることがあります
- 昆布 もともと引き上げやすいので、袋に入れる意味があまりありません
- そのまま召し上がる素材 食べる煮干しのように、素材ごと召し上がるものには要りません
保管のこと
当店の乾物は、いずれも賞味期限が冷蔵で半年です。乾物ですので常温でも置いておけますが、味を保つために当店では冷蔵をおすすめしています。
乾物ですが、美味しさを保つ為に当社では冷蔵を推奨します。(冷凍がベストです)
袋に小分けして仕込み置きされる場合は、とくにお気をつけください。 袋に詰めた状態は、素材が空気に触れる面が増えています。当日か翌日に使う分だけを詰めるようにされると、風味が落ちません。
まとめ
- 袋が要るのは、粉もの。 煮干しや昆布は、袋がなくても引き上げられます
- しいたけパウダーだけは、粉でも袋が要りません(そのまま使う商品です)
- 袋はテトラパックがおすすめ。 中で素材が踊るので、だしがよく出ます
- 詰めすぎない。 袋の中で素材が動ける余地を残す
- 煮出す時間は素材でまるで違う。 厚削りは30分以上、煮干しは5分ほど、昆布は沸かしきらない
- 絞るかどうかは、仕上げたい汁による
- 味の好みは人それぞれ。 濃い味がお好きなら、長めに煮出しても構いません
何を袋に入れるかは、お作りになる汁によって変わります。当店は原料をお納めする問屋ですので、配合のご提案まではしておりません。そのかわり、それぞれの素材の産地・原材料・煮出す時間の目安は、商品ページに書き出しています。上の並びを手がかりに、お店の味に合うところをお選びいただければと思います。





