当店の商品ページで、焼きあごとあご煮干しの原材料の欄を並べてみます。
| 商品 | 原材料 |
|---|---|
| 焼きあご(平戸産) | とびうお |
| あご煮干し(平戸産) | とびうお、塩 |
同じトビウオ、同じ平戸産。それなのに、片方には塩が書いてあって、もう片方には書いてありません。
書き忘れではありません。焼きあごは、煮ないからです。
焼きあごとあご煮干しは、まったく別のものです
どちらもトビウオが原料です。九州では、トビウオのことを「あご」と呼びます。ただ、作り方が違いますので、だしの風味がはっきり異なります。
| 作り方 | だしの持ち味 | |
|---|---|---|
| 焼きあご | 生のトビウオを炭火でじっくり焼き、そのあと乾燥させる | トビウオの甘みに、炭火焼き特有の香ばしさが乗ります。そのぶんクセは少し強めです |
| あご煮干し | トビウオを煮てから干す | マイルドでクセが少なく、使いやすいだしがとれます |
煮干しは塩水で煮てから干します。だから原材料に塩が入ります。焼きあごは煮ませんので、塩を使いません。
原材料の欄に塩があるかないかが、そのまま作り方の違いを表しています。香りを立てたい料理なら焼きあご、素材の味を邪魔したくない料理ならあご煮干し。そういう選び分けになります。
焼きあごの工場を見てきました
ここからは、私が実際に見てきた話です。
焼きあごを焼くときは、一本ずつ丁寧に、頭と尾に針金を通します。それを20匹くらいまとめて火にかけて、焼き上げます。数は魚の大きさによって変わります。
魚を焼く話だと思って見ていたら、まず串を打つところから始まっていました。一本ずつです。20匹分を、手で。
焼く前から、もう仕事が始まっています
ここが見ていていちばん驚いたところです。
トビウオの大きさと太さを揃えて焼かないと、むらが出ます。出来上がりも美しくなりません。
20匹をまとめて同じ火にかけるわけですから、一本だけ細いものが混じっていれば、そこだけ先に焼けてしまいます。太いものが混じっていれば、そこだけ生焼けになります。だから、焼く前に大きさと太さを揃える。
焼く技術の話だと思って聞いていたのですが、実は選ぶところからつながっていました。選別と焼きは、別の作業ではないということです。
焼きすぎれば、焦げ臭くなります
もうひとつ、難しいところがあります。
火が強すぎたり、時間が長すぎたりすれば、焦げ臭さが出ます。焼きあごの持ち味は炭火の香ばしさですが、それは焦げとは違います。香ばしさで止めて、焦げにしない。その一線を、まとめて焼く分すべてで越えないようにする。
熟練の技です。職人さんには全く頭が下がります。
とても美しい作業風景でした。この工場の焼きあごを取り扱えることを、嬉しく思っています。
【見分け方】色が黒ければよい、というものではありません
ここは知っておいていただきたいところです。
外国産のトビウオは、大きいものが多くなります。そして鮮度が落ちているものもあります。臭みを取るために焼きを強くしますので、色が黒っぽいものが多くなります。
黒くてしっかり焼けているように見えると、つい良いもののように思えます。ですが、そうとは限りません。強く焼かなければならなかった、という裏返しでもあるからです。
鮮度が良く、細身のものであれば、適度に焼いて火を通し、干し上げるだけで素晴らしい風味になります。強く焼く必要がないのです。
ここは、さきほどの「大きさと太さを揃えて焼く」という話ともつながっています。細身の揃った原料が手に入っているからこそ、適度な焼きで仕上げられる。焼きの加減は、原料の良し悪しがそのまま出るところでもあります。
干した魚の作り方は、三つに分かれます
ここまでの話を、当店の棚全体に広げてみます。当店が扱っている干した魚は、作り方で三つに分かれます。
| 種類 | 作り方 | 原材料の欄 |
|---|---|---|
| 煮干し | 塩水で煮てから干す | 魚の名前と塩 |
| 節 | いったん煮干しにしてから燻製をかけ、干し上げる | ◯◯のふし |
| 焼きあご | 煮ないで、生を炭火で焼いてから干し上げる | とびうお(塩なし) |
いわし節、うるめ節、かたくちいわし節、サンマ節は、いったん煮干しにしてから燻製をかけて作ります。節は煮干しの先にあるものです。
焼きあごだけが、その道筋から外れています。煮る工程を通らない。だから塩が入りません。
節と煮干しの違いについては魚粉・節粉の選び方に、煮干しの種類についてはいわし以外の煮干し20種にまとめてあります。
粉にしても、塩を見れば分かります
当店ではあご煮干し粉、焼きあご粉も扱っています。粉になると、見た目では何を粉にしたのか分かりません。
それでも、原材料の欄は正直です。
| 商品 | 原材料 | もとは |
|---|---|---|
| 焼きあご粉(平戸産) | とびうお | 焼きあごを粉にしたもの |
| あご粉(平戸産) | とびうお、塩 | あご煮干しを粉にしたもの |
香ばしさを取るなら焼きあご粉、素直さを取るならあご粉、という選び方になります。焼きあご粉は焼いたぶんだけ風味に厚みが出ます。あご粉は素直で澄んだだしで、あご本来の上品さが出ます。
産地のこと
当店は長崎・平戸産をおもに扱っています。長崎産のあご煮干しは見た目もよく、味も良いものが揃います。
石川産もあります。どちらも十分に美味しいものですが、違いは原料の扱いにあります。石川産は一度凍結した原料を使いますので、そのぶんわずかに味が落ちます。ただし国内での取り扱いですので、獲れてから冷凍するまでの時間が短く、鮮度は保たれています。
国産をおすすめしています。焼きあご・あご煮干しとも、インドネシア産やベトナム産のトビウオを長崎で加工したものがあります。味はかなり落ちます。理由は原料の鮮度です。どちらも暑い国のため、獲れてから冷凍するまでに時間がかかります。原料の段階で鮮度が落ちてしまうと、日本でどれだけ丁寧に焼いても、煮ても、味は上がりません。
ここは、工場を見てきたあとだから余計にそう思います。あれだけ手をかけて焼いても、元の魚が落ちていれば取り返せません。
なお、外国産の原料を国内で加工すると、産地の表示が変わることがあります。当店では原料そのものの産地を表示しています。産地でお選びいただく際の目安にしてください。
【正直に申し上げます】加工地による見た目の違い
長崎産や石川産のトビウオを牛深で加工したものは、折れが多くなります。製法の違いによるもので、味が劣るわけではありません。
氷見産のあご煮干し(訳あり特価)についても書いておきます。「訳あり」の理由は、見た目だけです。
甲殻類アレルギーのこと
ひとつ、はっきりお伝えしておきたいことがあります。
焼きあごは、はらわたを取り除いてあります。ただ、「原料は魚だから甲殻類は関係ない」とは言い切れません。
甲殻類アレルギーに対応されるメニューでお使いになる場合は、頭と腹ワタのあるものは避け、頭や腹ワタを取り除いたものをお選びいただくほうが確実です。お使いになる前に、頭を取っていただくのも確実です。
どの商品が該当するかは、お問い合わせいただければお調べしてお答えします。アレルギーの表示についてはアレルギー対応メニューとだし選びのポイントにもまとめてあります。
産地と原材料の一覧
当店のあごの商品を、産地・加工地・原材料で並べました。すべて商品ページの規格表から写したものです。
| 商品 | 原材料 | 産地 | 加工地 | 規格 |
|---|---|---|---|---|
| 焼きあご | とびうお | 長崎県平戸 | 長崎県平戸 | 1kg / 5kg / 8kg |
| あご煮干し | とびうお、塩 | 長崎県平戸 | 長崎県 | 1kg / 7kg |
| あご煮干し(牛深製造) | とびうお、塩 | 長崎県平戸 | 熊本県 | 9kg |
| あご煮干し(氷見産・訳あり) | とびうお、塩 | 富山県氷見市 | 富山県氷見市 | 7kg |
| 焼きあご粉 | とびうお | 長崎県平戸 | 長崎県 | 1kg / 1kg×5袋 / 1kg×10袋 |
| あご粉 | とびうお、塩 | 長崎県平戸 | 熊本県牛深・鹿児島県 | 1kg / 1kg×10袋 / 1kg×16袋 |
賞味期限はいずれも冷蔵で半年です。乾物ですので常温でも置けますが、香りを保つには冷蔵をおすすめします。当店では出荷直前まで低温で保管しています。
保存についてはだし用乾物の正しい保存方法にまとめてあります。
粉末は、顆粒だしとは別のものです
ここも間違えられやすいところですので、書いておきます。
市販の顆粒だしには、塩や砂糖、エキス、調味料が入っています。だしの味が最初から決まっています。当店の粉末は、原料をそのまま粉にしただけです。味付けはしていません。味を決めるのは、つくり手であるお店の方です。
そのかわり、粉末でもだしがらは出ます。原料そのものですので、煮出したあとに漉していただく必要があります。漉さずにお使いになると、スープが濁ります。どちらが良いかは、仕上げたい一杯によります。
まとめ
| お考えのこと | 選ぶもの |
|---|---|
| 香ばしさを立てたい | 焼きあご/焼きあご粉 |
| 素材の味を邪魔したくない | あご煮干し/あご粉 |
| だしを取る手間を省きたい | 粉のほう。ただし漉す必要があります |
| どちらか見分けたい | 原材料の欄。塩があればあご煮干し、なければ焼きあご |
あご単体は、扱いに慣れが必要な素材でもあります。そのため当店では、あごの持ち味を活かしながら使いやすく仕上げたあごだし混合だし(無添加)もご用意しています。冷や汁のだしとしてもお使いいただいています。
どれが合うかは、実際に炊いてみないと分かりません。当店では容量をお選びいただけますので、少ない量からお試しいただけます。
売り場はこちらです。焼きあご、あご煮干し/あご煮干し粉、焼きあご粉





